サバ州(ボルネオ)での探鳥
 うっそうと昼なお暗いダナムバレーの森から聞こえるムラサキヤイロチョウの声、荒々しい男性的な山容を見せるキナバル山の苔むした沢沿いで出会うノドグロキヌバネドリ、朝もや立ち込めるキナバタンガン川からボートで眺めるサイチョウの雄大な飛翔。私たち日本人が抱くジャングルのイメージがボルネオにはあります。

ジャワガマグチヨタカ ©Koji Tagi (ダナム・バレー)
1.サバ州概要
 ボルネオ島はマレー半島から1000キロ以上離れており、サバ州はその北端に位置している。Danum Valley, Kinabalu山、Sukauなどで、自然を題材にした旅行産業が栄えているものの、その森林被覆率は実は驚くほど低く、これら地方の保護区周辺に行かないともはや良い自然は残っていないというのが現状。州都コタキナバル周辺は、半島の大都市クアラルンプールやジョホール周辺以上に開発が進んでおり、もはやまともな平地性熱帯林は残っていないに等しい。コタキナバルから最も手軽に行ける熱帯林はキナバル公園の中にあり、必然的に山地性の鳥を見る機会の方が多い。しかし、そのキナバル山周辺でも、観光客の増加と共に、野鳥の数、種類が少なくなっているようである。深く、茂った熱帯雨林と、野鳥の生息密度のせいで、バードウォッチャーの間では世界有数の鳥の見づらい地域として知られている。
 ボルネオ島は距離的に遠いマレー半島とは少し異なった鳥相を見せる。ボルネオ島に普通に見られるWhite-breasted Woodswallow(モリツバメ), Rufous-tailed Tailorbird(ズアカサイホウチョウ), Blue-eared Kingfisher(ルリカワセミ)は半島では決して多い種ではなく、目にする機会は少ない。一方、半島では普通に見られる、White-throated Kingfisher(アオショウビン), Large-billed Crow(ハシブトガラス), Indian Myna(カバイロハッカ)などはボルネオには全く見られない。また、White-crowned Forktail(エンビシキチョウ)のように、半島(平地性)、ボルネオ(山地性)で習性が異なる種や、Whitehead's Trogon(ノドグロキヌバネドリ, ボルネオ)とRed-headed Trogon(ズアカキヌバネドリ, 半島)のように、類似の環境で棲み分けている種もあるなど、興味は尽きない。John MacKinnon (1993)によると、陸鳥に限って言えば、ボルネオはマレー半島とは83%、スマトラとは85%の共通種が生息している。また、世界で3番目に大きな島である割には固有種は少なく、せいぜい40種にしかならない。先のデータとも関連し、これはマレー半島やスマトラ島との地理的な近さが原因だろう。

2. 日本からサバへのアクセス
 コタキナバルへの日本からのルートとしては、マレーシア航空を利用するのが一般的。成田から週3便(2005年7月現在)、関空から週2便飛んでいる。成田からの便は夕方6時頃、関空からの便はもっと早く、午後4時頃にはコタキナバルに到着するので、まずはコタキナバル市内のホテルに宿泊し、必要なものを買い込んで、翌日からの探鳥に備えることができる。
 名古屋、福岡からはクアラルンプール行きのフライトはあるので、経由で来る方法もあるが、コタキナバル着が深夜になるため、あまり勧められない。
 マレーシア航空はエクセスをほとんど認めてくれないため、荷物の多い人は要注意。エクセス料金については、マレーシア航空に問い合わせる方が良い。
 マレーシア航空はスターアライアンスやワンワールドのような世界規模のマイレージグループに属していないが、マレーシア航空のマイレージを全日空で貯めることができるので、マレーシアに行く際は全日空のマイレージカードを忘れずに。

3. サバ州内各地の空港へのアクセス
 コタキナバル以外の各空港へは、基本的にコタキナバルで乗り換えることになる。最近、タワウ、サンダカンにはマレーシア航空やエアーアジアが飛行機を飛ばしているが、便数が少なく、まだまだ不便。主要な探鳥地ではスカウに行くには、サンダカン、ダナム・バレーに行くにはラハッ・ダトゥまで飛ぶのが便利。コタキナバル - サンダカン間は便数が多く、ほぼ1時間に一本、コタキナバル - ラハッ・ダトゥ間は一日に四便(日によって五便)飛んでいる。

4. 陸上公共交通機関

 コタキナバルの空港からはエアポートリムジンが利用できる。カウンターは空港の出口を出て右側、旅行会社やホテルのカウンターを通り過ぎた先にある。ステラ・ハーバーやタンジュン・アルのような至近のホテルなら約RM10.00、プロムナードホテルのような市内南部のホテルならRM12.00程度だ。

 コタキナバル市内の公共交通機関で旅行者が使えそうなのはタクシーくらいである。メーター制になっていないし、70年代、80年代のクラウンがそのまま走っているしで、ちょっと躊躇するかもしれないが、ぼったくられたという話はほとんど聞かない。目安として、市内:ハイアットホテルーセンターポイントはRM7-8.00、市内:ハイアット - カラムンシンはRM10.00程度である。キナバル山までだと、恐らくRM150-200.00程度は取るだろう。

 サンダカンでもタクシーを使うのが一般的で、ツアー会社に頼んでいなければ、セピロック等へはタクシーで行くことになる。観光客が多いせいなのか、コタキナバルよりも商売が上手く(?)、また、ふっかけてくる率も高いように思う。

 なお、主要都市の市内と郊外をミニバスと呼ばれるバスが走っているが、痴漢が多い等、トラブルもよく聞くので、あまり勧められない。

 参考までに、レンタカー会社は空港に数社あり、また、主要なホテルで予約することも可能だ。


5. サバ州にある旅行会社
 観光産業の盛んなコタキナバルには、様々な旅行会社がある。当然、日系の旅行会社もあり、HISはコタキナバルに事務所を構え、日本人スタッフが空港出迎えを行い、スカウやキナバル山など、州内の観光地へのアレンジを行っている。ダナム・バレーへの手配でその名を知られているのはジスコ社。こちらも日本人スタッフが常駐している。自分で手配をするのが億劫という方は、このような旅行会社に手配を依頼するのも良いだろう。

宿泊施設については、こちらのページをごらんください

それより、野鳥の情報の観察情報をという方はこちらへ
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