サバ州の探鳥地

1. コタキナバル市野鳥公園 (Kota Kinabalu City Bird Sanctuary): 市内のLikas(リカス)地区にあり、Hyattからだとタクシーで10分くらい。マングローブ林、二次林の鳥が見られる。ボードウォークがあり、ゆっくり歩いても一周1時間程度。暑いので、帽子は必需品。主な種はPurple Heron(ムラサキサギ), Little Egret(コサギ), Great Egret(ダイサギ), Striated Heron(ササゴイ), White-breasted Waterhen(シロハラクイナ), Pacific Golden Plover(ムナグロ), Common Sandpiper(イソシギ), Common Greenshank(アオアシシギ), Common Redshank(アカアシシギ), Pink-necked Green Pigeon(コアオバト), Peaceful Dove(チョウショウバト), Spotted Turtle-Dove(カノコバト), Collared Kingfisher(ナンヨウショウビン), Pacific Swallow(リュウキュウツバメ), Pied Triller(マダラナキサンショウクイ), Common Iora (ヒメコノハドリ), Yellow-vented Bulbul (メグロヒヨドリ), Magpie Robin(シキチョウ), Yellow-bellied Prinia(アオハウチワドリ), Pied Fantail(ムナオビオウギビタキ), White-breasted Woodswallow(モリツバメ), Glossy Starling(ミドリテリカラスモドキ), Brown-throated Sunbird(チャノドコバシタイヨウチョウ), Olive-backed Sunbird(キバラタイヨウチョウ)など。稀に、Green Imperial Pigeon(ミカドバト), Stork-billed Kingfisher(コウハシショウビン), Black-capped Kingfisher(ヤマショウビン), Blue-eared Kingfisher(ルリカワセミ)なども見られている。


2. イノボン(Inobong): 市内からタクシー等の交通機関を使って1時間程度。クロッカー山脈公園(Crocker Range National Park)の北端にある。二次林のため、見られる鳥は限られているが、ゴシキドリの仲間、Thick-billed Green Pigeon(ハシブトアオバト)、Indian Cuckoo(セグロカッコウ), アマツバメの仲間、ヒロハシの仲間などが観察できる。同公園のサブ・ステーションまでの道のりは急だが、サブ・ステーションからコタキナバル市街を一望できる。また、猛禽類などが飛翔する姿も。

3. キングフィッシャーの汚水処理場 (Kingfisher Sweage Works): 市内からタクシー等で約30分。キングフィッシャーの集落の外れにある。場所がわかりにくいため、地元の人に聞くしかない。シギ・チドリ類、サギ類等、湿地性の鳥が見られる。White-browed Crake(マミジロクイナ)やRuddy Crake(ヒクイナ)がみられることもあるという。周辺の草地では、Collared Kingfisher(ナンヨウショウビン)、Oriental Reed Warbler(オオヨシキリ)、Black-heaed Munia(キンパラ)、Striated Grassbird(オニセッカ)が見られる。治安のあまり良くない地区なので、訪問する時間帯に注意したい。

4. トゥアランの田んぼ(Tuaran): コタキナバル市内から、Tuaranに向かって約45分。Rasa Ria Resortに行く道を曲がってすぐの左右の田んぼ。水田に水が張られているときには、サギ類、シギ類が集まる。Javan Pond Heron(ジャワアカガシラサギ)が見られるというが、残念ながら確認したことはない。

5. コタ・ブルッの湿地 (Kota Berud):Tuaranから更に北東に約40分。コタキナバルからだと車で1時間半くらい。コタ・ブルッ市内から約10キロクダッ(Kudat)側に走ったところにある湿地と水田が探鳥地。淡水性のシギ・チドリ類、リュウキュウガモ類、Striated Grassbird(オニセッカ)等が見られる。季節によって水位が変動するため、水のない乾季は行ってもなにもいない。


6. キナバル山公園本部 (Kinabalu Park headquarter): コタキナバル市内から、車で1時間半(約80km)。公共の交通機関を利用するなら、サンダカンやラハ・ダトゥ行きのバスを利用する方法もあるが、レンタカーで行くのが最も便利。
 標高が1,000mを超えているため、山地性の固有種が多く見られる。初めて訪問するなら、まずは早朝、公園内の道路沿いを歩くことを勧めたい。
Golden-naped Barbet(キエリゴシキドリ), Grey-chinned Minivet(ベニサンショウクイ), Ochraceous Bulbul(シロハラカンムリヒヨドリ), Hair-crested Drongo(カンムリオウチュウ), Ashy Drongo(ハイイロオウチュウ), Black-and-Crimson Oriole(ヒムネスミゴロモ), Borean Treepie(ボルネオシラガオナガ), Short-tailed Green Magpie (タンビヘキサン), Grey-throated Babbler(ハイノドモリチメドリ), Chestnut-crested Yuhina(クリガシラモリチメドリ), Chestnut-capped Laughingthrush(チャガシラガビチョウ), Sunda Laughingthrush(スンダガビチョウ), Yellow-breasted Warbler(チャガシラモリムシクイ), Mountain Leaf Warbler(ミナミムシクイ), Mountain Tailorbird(キバラサイホウチョウ), Indigo Flycatcher(アイイロヒタキ), Little Pied Flycatcher(ハジロマユヒタキ), White-throated Fantail (ノドジロオウギビタキ), Borean Whistler(ボルネオモズヒタキ), Temminck's Sunbird(ベニタイヨウチョウ), Black-sided Flowerpecker(ボルネオノドアカハナドリ), Black-capped White-eye(ズグロメジロ)等が見られるだろう。これらの鳥の中には、外灯に集まった昆虫を狙って、早朝に外灯の周りに集まってくるものが多い。
 公園入り口とビジターセンターを結ぶ周回道路に比べ、発電所に向かう道路沿いは鳥影が少ない。しかし、珍しいものが多く見られている。Silau-Silau Trailの入り口までの間では、
Besra(ミナミツミ), Whitehead's Broadbill(オオミドリヒロハシ), Black-breasted Fruithunter(キンガオサンショウクイ), Black Laughingthrush(クロガビチョウ), Pygmy Blue Flycatcher(チビアオヒタキ), Whitehead's Spiderhunter(ゴマフクモカリドリ)等が観察されている。普段は静かな道路沿いだが、あまり聞き慣れない声がしたら要注意。
 公園本部の周辺には数多くのトレイルがあるが、お勧めはSilau-Silau Trail(シラウ・シラウ・トレイル)だ。川沿いの平坦なトレイルで、最もよく手入れされているため、さほど足下に気を取られずに探鳥に専念できる。道路沿いに比べると、ぐっと鳥の数は減り、見つけづらくなるが
、Crimson-headed Partridge(アカガシラシャコ), Red-breasted Partridge(ボルネオミヤマテッケイ), White-crowned Forktail(エンビシキチョウ), White-browed Shortwing(コバネヒタキ), Eye-browed Jungle-Flycatcher(マミジロミツリンヒタキ), Snowy-browed Flycatcher(ムネアカヒタキ)などに出会える。
 トレイルを歩く最大の目的は、なかなか見られない、珍鳥たちを探すことにある。
Whitehead's Trogon(ノドグロキヌバネドリ), Whitehead's Broadbill(オオミドリヒロハシ), Everett's Thrush(ムネアカジツグミ)、Mountain Wren-Babbler(ノドジロサザイチメドリ)等はいずれもトレイルを歩いていて観察された。ただし、この珍鳥たち、年に1−2回見かける程度である。
 冬期には、日本でお馴染みの
オオルリ、ムギマキ、サメビタキ、キセキレイといった鳥たちも観察できる。

7. ポーリン(Porling Hot Springs):コタキナバル市内から、車で2時間ちょっと(約120km)。公共の交通機関はないので、タクシーかツアーを利用するか、レンタカーを借りるしかない。
 標高が500mそこそこしかないため、公園本部と違って、平地性の鳥が多く見られる。トレイルはほとんどないので、平日の早朝に鳥を見るのが良いだろう。早朝であれば、温泉の周りで
White-fronted Falconet(ボルネオヒメハヤブサ), Black-and-Red Broadbill(クロアカヒロハシ)クモカリドリの仲間、Crimson Sunbird(キゴシタイヨウチョウ)が見られることもある。White-crowned Shama(シラガシキチョウ)が森から姿を見せることもある。滝までの短いトレイルが数少ない探鳥ポイントだが、見られるときには面白いものが出る。Diard's Trogon(バラエリキヌバネドリ), Oriental Dwarf Kingfisher(ミツユビカワセミ), Yellow-crowned Barbet(キンカブリゴシキドリ), Rufous Piculet(マレーミツユビコゲラ), Maroon Woodpecker(エビチャゲラ), Dusky Broadbill(ガマヒロハシ), Banded Broadbill(アズキヒロハシ), Black-and-Yellow Broadbill(クビワヒロハシ), Banded Pitta(キマユシマヤイロチョウ), Crow-billed Drongo(ハシブトオウチュウ), Dark-throated Oriole(ムナフコウライウグイス), Black-capped Babbler(ズグロジチメドリ), Chestnut-winged Babbler(アオメモリチメドリ), Grey-headed Babbler(ハイガシラモリチメドリ), White-tailed Flycatcher(オジロアオヒタキ)等。但し、何もいない時には、目も当てられないくらい・・・。
 キャノピーウォークは樹冠の鳥を見るのに適している。観光客の多い時期を避けていけば(なかなか難しいが)、プラットフォームで1−2時間粘るのも良いだろう。
Buff-rumped Woodpecker(ヒメカレハゲラ), Black-and-Yellow Broadbill(クビワヒロハシ), Black-winged Flycatcher-shrike(ハグロヒタキサンショウクイ), Lesser Green Leafbird(コノハドリ), Asian Fairy-Bluebird(ルリコノハドリ), Verditer Flycatcher(ロクショウヒタキ), Maroon-breasted Monarch(クリムネアカメヒタキ), Black-naped Monarch(クロエリヒタキ), Brown Fulvetta(ムジチメドリ)等。


8. スカウ (Sukau): サンダカンから車かボートで約2時間。キナバタンガン川沿いにある小さな集落がスカウである。ここには、Wildlife Expedition(Sukau River Lodge), Borneo Eco Tours (Sukau Rainforest Lodge), Borneo Divers (Sukau Proboscis Lodge)等が川沿いに軒を連ねる。サンダカンから日帰りも可能だが、通常は1−2泊(2泊する人が多い)して、リバークルーズやジャングルトレッキングを楽しむ。一般観光客の目当てはテングザルだが、鳥も悪くない。Oriental Darter(アジアヘビウ), White-bellied Sea-Eagle(シロハラウミワシ), Brahminy Kite(シロガシラトビ), Green Imperial-Pigeon(ミカドバト), Stork-billed Kingfisher(コウハシショウビン), Blue-eared Kingfisher(ルリカワセミ), Dollarbird(ブッポウソウ), Black-and-Red Broadbill(クロアカヒロハシ), White-chested Babbler(ムナジロムジチメドリ), Asian Paradise-Flycatcher(カワリサンコウチョウ)がキナバタンガン川やその支流のメナンゴール川沿いに見られ、Helmeted Hornbill(オナガサイチョウ), Rhinoceros Hornbill(サイチョウ), Oriental Pied Hornbill(カササギサイチョウ)らが上空を舞う。
 
周辺環境の悪化(アブラヤシプランテーションの拡大等)により、川沿いにわずかに残った林に鳥や動物が集まっているという、目も当てられない状況に加え、ぼったくりの宿泊施設はどこも似たり寄ったりで、食事はそこそこ、部屋はタコ部屋みたいなところに泊まらされる。ガイドの質も?マークで、エコツアーを語っている割に、ボートを大量に川に出して油を垂れ流すなど、一度で十分という気にさせられる。
 それでも、ここ以外ではめったに見られない鳥がボートに乗って殿様気分で見られるのはやはり捨て難い。
Storm's Stork(スンダエンビコウ), Grey-headed Fish-Eagle(ウオクイワシ), Lesser Fish-Eagle(コウオクイワシ), Jerdon's Baza(チャイロカッコウハヤブサ等はここ以外ではなかなかお目にかからないしBlack-and-yellow Broadbill(クビワヒロハシ), Malaysian Blue Flycatcher(マレーヒメアオヒタキ)等が川沿いで目線で見られるのも楽しい。
 各ロッジによって趣向が異なるが、ナイトウォークあるいはナイトクルーズ(Sukau Rainforest Lodgeのみ)には参加した方が良い。ナイトウォークでは、まるで標本みたいに奇妙な姿勢で眠っている鳥たちが見られるし、ナイトクルーズでは、
Buffy Fish-Owl(マレーウオミミズク)等が見られる。
 日中行われるジャングルウォークは大抵なにも出ないので、自身でロッジ周辺のトレイルを歩いた方が良いかもしれない。私自身は見たことはないが、
Blue-headed Pitta(ズアオヤイロチョウ)やHooded Pitta(ズグロヤイロチョウ)の話もちらほらと聞く。
 スカウは鳥以外の動物も面白い。有名なテングザル以外にも、カニクイザル、ブタオザル、ラングールの仲間、オランウータン、アジアゾウ(季節による)、アオハブ、ニシキヘビの仲間、イリエワニ(大抵、驚くほど小さいが)等が見られることもある。
 
 雨季の11−1月は水位が上がるので、乾季に訪問するのが良い。

スカウについて:年間2万人以上が訪れるというスカウのロッジ群だが、ここで行われているツアーはエコツーリズムの本来の主旨からは外れていることを理解しておいて戴きたい。スカウ村に住む人たちにすれば、「観光客がボートで村の脇を通り過ぎるのを指をくわえてみているだけ」なのである。某ロッジの社長は自分たちのビジネスこそ、地域に根ざしたエコツアーと豪語しているが、地元のコミュニティにはほとんどお金が落ちない仕組になっている。もし、地元の人たちにも利益のあるエコツアーにご関心があれば、Red Ape Encounters & Adventuresのツアーに参加していただきたい。同社はスカウ村の有志で作られたエコツアー会社である。


9. ダナム・バレー (Danum Valley): ラハッ・ダトゥから車で2時間半にあるダナム・バレーはサバ財団という、サバ州の行政機構の所有地の中にある保護区で、同財団の子会社であるBorneo Rainforest Lodgeが運営・管理を行っている。マレーシアのローカルレートでも、一泊一人RM350-400.00(約1 - 1.2万円)、外国人レートだと、一人RM600-700.00(約2万円)という、めちゃくちゃ高い宿泊施設のBorneo Rainforest Lodgeだが、最低2泊、できれば3−4泊したい。雨季には洗ったTシャツを一日日中干しても乾かないという、めちゃくちゃ高い湿度に、乾季には熱帯の太陽に悩まされ、エアコンのない部屋で天井のファンを睨みながら、部屋の中に入ってくる蚊や蟻を追い回す日々に何が楽しいのか、という方々には向かないが、ディープな探鳥をされる方は何度来てもきっと飽きないだろう。
 ダナム・バレーは平地性熱帯林の鳥を見るには、サバ州で最も適した環境で、世界中からバードウォッチャーが集まってくる。ここを訪れるバードウォッチャーたちが探すのは
、Bornean Bristlehead(ブタゲモズ), Sunda Ground-Cuckoo(ハシリカッコウ), キヌバネドリの仲間, ヤイロチョウの仲間, Black-throated Wren-Babbler(ノドグロサザイチメドリ), Bornean Wren-Babbler(ボルネオミノハチメドリ), Malaysian Rail-Babbler(クイナチメドリ), Borean Blue Flycatcher(ボルネオヒメアオヒタキ), Large-billed Blue Flycatcher(クロアゴヒメアオヒタキ)といった、ここならではの鳥たちである。
 ロッジ周辺には、様々な庭木が植えられており、食事をしながら、あるいは部屋からも色々な鳥を見ることができる。
Crested Fireback(コシアカキジ)が庭を歩き回り、Yellow-rumped Flowerpecker(キゴシハナドリモドキ), Yellow-breasted Flowerpecker(キムネハナドリモドキ)などが花を食べに訪れる姿を目にすることができる他、人が少なければ、Malaysian Blue Flycatcher(マレーヒメアオヒタキ)やWhite-crowned Shama(シラガシキチョウ)の姿も見かけることができる。上空を眺めればWallace's Hawk-Eagle(ウォーレスクマタカ)などの猛禽類を見つけることもできるし、川沿いではStork-billed Kingfisher(コウハシショウビン), Silver-rumped Swift(チビハリオアマツバメ)なども見られる。運が良ければ、Rhinoceros Hornbill(サイチョウ), Bushy-crested Hornbill(ムジサイチョウ), Great-billed Heron(スマトラサギ)なども見られるかもしれない。
 トレイルは非常によく整備されており、ガイドを着けることが半ば義務付けられているが、ガイドがいなくても迷うことはない。林内で鳥に出会う確率は驚くほど低い。しかし、吹き出る汗を拭いながら歩いていて、
Diard's Trogon(バラエリキヌバネドリ), Red-naped Trogon(アカエリキヌバネドリ), Scarlet-rumped Trogon(コシアカキヌバネドリ)等のキヌバネドリや、Rufous-tailed Shama(コシアカシキチョウ), Maroon-breasted Monarch(クリムネアカメヒタキ)などに出会えた時の感動はひとしおだ。午前中なら、Great Argus(セイラン)の大きな声を森の中から聞くことができる。
 ヤイロチョウの仲間は、大抵、「声はすれども姿は見えず」である。一番多いのは、
Garnet (Black-headed) Pitta(ムラサキヤイロチョウ)、次いでBlue-headed Pitta(ズアオヤイロチョウ)だろう。この2種は多い時には、一日に何回も声を聞くが、1回の旅行で一度でも見られれば、運が良い方だ。他のヤイロチョウはもっと難しい。Giant Pitta(オニヤイロチョウ)Banded Pitta(キマユシマヤイロチョウ)はめったに鳴かないので、声すら聞ければラッキーだ。
 沢沿いなら、カワセミ類を探そう。
Oriental Dwarf Kingfisher(ミツユビカワセミ)は普通に生息しているが、小さい上に警戒心が強く、慣れるまではなかなか見つからない。小さな沢沿いの低い木の枝を探すと良い。Blue-banded Kingfisher(アオムネカワセミ)はずっと頻度が低い。こちらはより水辺に依存しているので、川沿いの石の上や杭の上などを探すしかない。
 キャノピーウォークは、ダナム・バレーで唯一樹冠の鳥を見るのに適した所だ。
サイチョウ類、キツツキ類、ヒロハシ類等が見られる。珍鳥Bornean Bristlehead(ブタゲモズ)はキャノピーウォーク周辺で探すのが最も効率良く見られる。「ピープー、ピープー」という救急車のサイレンのような声が聞えたら、大木の樹冠を探してみよう。White-fronted Falconet(ボルネオヒメハヤブサ)もキャノピーウォークでよく見られている。
 鳥以外の動物も多く、オランウータン、クリイロリーフモンキー、ジャワマメジカなどは常連で、ナイトドライブやナイトウォークでスイロク(サンバー)、ビントロング、ムササビ類、スローロリス、コツメカワウソ、ベンガルヤマネコなども見られることがある。
 ダナム・バレーでは、もう一箇所、Field Centreという施設がある。こちらは研究目的の施設であるため、宿泊施設の質はぐっと落ちる。また、週に2回程度しかアクセスがなく、あまり一般的とは言えない。見られる鳥相はRainforest Lodge周辺とほぼ同じである。
 ダナム・バレーは一年中鳥を楽しむことができるが、3月頃から8月頃までの繁殖期が鳥を見るに良い時期のようだ。なお、林内を歩く時には、ヒルよけソックスをはいた方が足下に気を取られなくて済む。ヒルよけソックスはロッジでRM15.00で販売している。また、予約の際には、個人ガイドをつけてもらうように頼んだ方が良い。一般客とガイドを共用するとゆっくり鳥を見ていられない。スカウほどではないが、鳥に詳しいガイドは少なく、自分がバードウォッチングに行く旨を伝えた方が良い。

 

9. タビン野生生物保護区 (Tabin Wildlife Reserve):ラハッ・ダトゥから車で1時間半。タビン野生生物保護区は平地性二次林の中にある。二次林のためか、ダナム以上に日中は暑く、トレイルもあまり整備されていないため、あまり一般的ではない。Tabin Resortのガイドの質は低いし、食事も不味いし、全てまだまだこれからといった感じである。それでも、真新しいところに行きたい向きには悪くはない。
 ここで見られる鳥はダナムとさほど変わりはない。二次林という環境のため、かえって見やすくなる種もある。例えば、サイチョウの仲間はここでは低い木に止まることがあるため、ダナム・バレーのように50mも60mもの高木の上を見る必要はない。Oriental Pied Hornbill(カササギサイチョウ)は数が多く、道路沿いで一度に何羽も見ることができる。
 主な鳥は次の通り。
Storm's Stork(スンダエンビコウ), Wallace's Hawk-Eagle(ウォーレスクマタカ), Green Imperial Pigeon(ミカドバト), Blue-crowned Hanging-Parrot(サトウチョウ), Plaintive Cuckoo(ヒメカッコウ), Rhnoceros Hornbill(サイチョウ), Helmeted Hornbill(オナガサイチョウ), Bushy-crested Hornbill(ムジサイチョウ), Diard's Trogon(バラエリキヌバネドリ), Scarlet-rumped Trogon(コシアカキヌバネドリ), Black-and-Yellow Broadbill(クビワヒロハシ), Lesser Green Leafbird(コノハドリ), チメドリ類、White-crowned Shama(シラガシキチョウ), Verditer Flycatcher(ロクショウヒタキ), Malaysian Blue Flycatcher(マレーヒメアオヒタキ), Bornean Blue Flycatcher(ボルネオヒメアオヒタキ), Large-billed Blue Flycatcher(クロアゴヒメアオヒタキ), Asian Paradise Flycatcher(カワリサンコウチョウ)等。
 特筆すべき種は
Wrinkled Hornbill(ズグロサイチョウ)で、比較的よく見られる場所として知られている。珍しいところでは、Gould's Bronze-Cuckoo(フトハシテリカッコウ), Cinnamon-rumped Trogon(ズグロキヌバネドリ), Giant Pitta(オニヤイロチョウ)などの記録もある。
 ここに来たら、ナイトドライブに是非参加しよう(宿泊費に含まれている)。ベンガルヤマネコが恐ろしいくらいに頻度で現れる他、ジャコウネコの仲間、アジアゾウ(季節による)、ウンピョウ、スローロリス、ムササビ類が見られる。ナイトドライブはダナム・バレーとは比較にならないくらいに多くの動物が現れるため、楽しい。夜行性の鳥はあまり多くはないが、それでも
Brown Wood-Owl(オオフクロウ)Buffy Fish-Owl(マレーウオミミズク)などが見られることがある。
 ダナム同様、ヒルよけソックスを忘れないようにしたい。


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