オマーン旅行報告

(中東オマーンの旅行記)

2003年1月19−28日 その1

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 オマーンという国は名前くらいしか聞いたことがなく、まさか縁のない中東の同国を実際に訪れる機会がやってくるとは考えてもいなかった。中東やアラブ人というと、湾岸戦争などによるきな臭さ、真摯なイスラム教徒であるという閉鎖性、不毛の砂漠の世界など、あまり良いイメージを抱いていなかった。

 インターネットで「オマーン」という文字をキーワードに検索するが、まともな情報が出てこない。少ない情報の中から察するに、オマーンは海洋国家だったらしい。タンザニアのザンジバルを植民地としていた時代もあったようだ。日本とは意外なところで付き合いがあり、のちほど、インゲン?を日本に輸出しているとか、デーツやしの実を買いに広島のオタフク(ソースにするらしい)が来ていると聞いた。

1月19日 大船 -  成田 - バンコク - Muscat

 大船を朝7時過ぎに出発した成田エクスプレスが空港第2ビルの手前で信号待ちのため、15分遅れ、やや冷や汗を掻いてチェックインを済ます。続いて出国でも大行列のおかげで手間取り(なんであんな混むねん!)、機内へ。タイ航空のサービスは最近評判が良くないが、オーダーしたメニューが切れたと後で言ってくるなど(この後、バンコクからの乗継便でも頼んだものが「ない」といわれた)、あまりイメージが良くなかった。

 バンコク乗り継ぎは2回目だが、今回も戸惑った。トランジットカウンターが空港のほぼ両端にあるため遠いのと、ビル内を上がったり降りたりしながらの移動となるためである。毎回思うが、バンコク空港はデザインを考え直した方が良い。チャンギやKLIAも歩かされるが、よほど効率的にデザインされており、分かりやすいぞ!乗り場へ行くと、如何にもイスラム!という格好の白装束のオッサンが数人いた。飛行機までバスに乗せられるのだが、バスは延々と走って、ターミナルのほぼ真中付近まできた。こんなとこまで来るんなら、もっと近くの搭乗口から誘導すりゃエエのに。バンコク出発は約50分遅れ。タイ航空はなぜかいつも遅れる気がする。

 フライトはカラチ経由のため、オマーン人と思わしき人よりも、インド・パキスタン人の方が圧倒的に多く、柄が悪い。携帯は鳴らしっぱなしだわ、「ワシ、あっちの席がええねん。席動きたいねんけど」というオヤジが続出するわ、はしゃいで飲みすぎて吐くオヤジはいるわ…。そんなに飛行機に乗ったのがうれしいのかとばかりに歩き回るオヤジの多いこと!いつかこいつらが成り上がって、かつての日本人や現在の台湾、韓国人みたいにツアーを組んで世界を回ることになったら、そりゃ恐ろしいやろなぁ…。

 どこまでもにぎやかだったパキスタン人たちがカラチで降り、機内は少し静かになる。前の座席に如何にもオマーン人という風貌のオッサンが座っていたが、短い搭乗時間内にワインを何杯もお代わりしていた。国内入れば、規制が煩いからやろナ…。マスカット到着は午後11時。案外大きな空港である。荷物の受け取り、入国、はスムーズに行く。気温は15度前後だろうか、結構涼しい。道路はよく整備されており、車の流れは速い。世界でおなじみのマクドナルドが見えたら、宿泊するホテルの前だった。

1月20日 Muscat - Sinaw - Al Hiji - Film

  朝、5時半過ぎに目が覚める。多少時差の影響があるらしい。6時過ぎ(5時からレストランは営業しているという)に食事を済ませ、7時半にこちら側の担当の人と会う。午前中、予定していた面会を済ませる。面会相手はいかつい無愛想なオッサンを想像していたら、えらく口の滑らかな人で、「ひょっとしたら、インド人?」と思ってしまった。前に、インド人は英語を話せることがステータスになっており、意味もなく早くしゃべることがあると聞いたが、中東でもそうだろうか。

 手持ちにリヤル(オマーンの通貨)がないので、換金に銀行へ行く。「EUROかUS$のどっちでも良いから換金して」と言うと、銀行員のオッチャンに「わぁ、EUROなんて初めて見た!」と驚かれた。もっぱらUS$の方が通じるらしい。

 この日はフィールド調査でWusta州のFilmへ向かう。途中で地元の担当者を拾う。オマーンでは、法律で家の外壁は白かベージュと決められているらしいが、彼の家は大理石模様のヘンな家。法律守らんでええんやろか。どう見ても自分より若いのだが、えらく立派な家に住んでいる。聞いた話によると、こっちの人の家の中は世界各国の置物が置いてあったり、色彩感覚が麻痺しているかのような派手な色使いをしているという。

 オマーンは右側通行。車は150キロを軽く超えて飛ばしている。ラウンドアバウトでタクシーがたまっているので、疑問に思っていたら、タクシーは乗合で、人が交差するラウンドアバウトのようなところで客待ちをしているのだという。こちらでは、飲酒運転は違法ではないという(酒の飲めないイスラム教徒にはどのみち関係ないと思うのだが)。ただし、いったん事故を起こすと、厳罰が課せられることになるという。イスラムの考え方は私たちの考えられる範囲とはかなり違うらしく、車が飛ばした小石で失明した子の親がその場でドライバーの子供の片目をえぐったという話が実際にあるという(まさに、ハムラビ法典!)。

 マスカットは緑の多い都市(おそらく、淡水化プラントによる水を街路樹や芝生へ巻いている)だが、町を抜けると木の生えない、瓦礫ばかりの岩山が見える、殺伐とした景色に変わった。砂漠とはいえ、まったく不毛ではなく、所々所々アカシアの潅木が見える。下草が生えていたら、ケニアのサバンナのようなダイナミックな景色だ。日本人にとって、砂漠というとフタコブラクダと砂の「砂漠」というイメージなのだろうが、ラクダはヒトコブラクダだし、砂漠というよりも土漠で、ここでも一種の誤解があるんだろうなと認識した。道中はガソリンスタンドや小規模な町がある以外はなにもない。

 山は2000mを超えるような高い山もあり、急峻な上、稜線がでこぼこしている。いくら雨が降らないとはいえ、風による風化もあるだろうに、奇妙な光景である。数年に一度の雨季に川になるというWadiは礫地に谷を作り、アクセントをつけている。途中、大型の猛禽類を数回見かけた。中でも、Lappet-faced Vulture(ミミヒダハゲワシ)は大きく、恐らく翼長は2mを超えるだろう。顔さえ見なければ、ハゲワシは大きくて迫力のある鳥だ。

 Filmに近づくに従い、景観は一層単調になり、地平線の見える土漠になった。時折、地下水があるのか、10mくらいのアカシアの木があるくらいで、はるかかなたに蜃気楼すら見える。

 ラクダやロバが道中時々道路を横切る。ラクダは胃液を人に吐きかけるなど、性格の悪さで有名だが、朝には自分で柵を抜け出し、夕方隊列を組んで同じ囲いに戻ってくるというから、飼いやすい動物なのだろう。

 HijiからFilmへの道中は未舗装の道になる。途中から、急に路面に水溜りが目立ち始めた。数日前に雨が降ったようなのだが、水はけが悪いのか、あちこちで池になっている。乾いた路面は真っ白になり、土中から塩が吹き出てきているようだ。まるで雪でも降ったかのような、不思議な光景である。Filmへの途中、ウズラのような、顔がオレンジ色の鳥を見つける。Spotted Sandgrouseのオスだ。

 Sandgrouse(サケイ=砂鶏)の仲間は長期間水を飲まなくても生きていられる砂漠に適応した鳥である。通常は群れを作り、長い翼を生かし、餌や水を求めて長距離を移動するという。小石や枯れたアカシアの枝先には、時々サバクヒタキがとまっている。日本では、荒川の河川敷など、ヘンな環境でこれまで記録されているが、元々「えっ?こんなところにいるの?」といういい加減な環境に生息している鳥のようだ。後ほど、Filmの海岸沿いの岩場でも見られた。Filmは小さな漁村で、数十戸の漁師の小屋が並んでいる。淡水化プラントの大きなタンクが2、3キロあるだろうか、対岸のMahawt島まで伸びている。Mahawt島はオマーンでも最大級のマングローブ林があるが、淡水化プラントができたおかげで、住民が島での永住を希望しているという。島とFlimの間には広大な干潟が広がっており、住民は舟を出して漁をしたり、マングローブの中でカニを捕って食べている。小屋は貧相に見えるが、意外に大きな車を乗り回していたり、案外裕福な生活を送っているとか。

 干潟には、ミヤコドリ、サルハマシギ、ニシトウネン、アカアシシギ、オグロシギ、オオソリハシシギ、ダイゼンなどのシギ・チドリ類、Western Reef Heron、ハジロクロハラアジサシ、オオフラミンゴなどが餌を採るのに忙しい。やや水質は悪いとはいえ、日本ではすっかりなくなってしまった広大な干潟を見るのは良いものだ。

 FilmからHijiに戻る途中、白黒の羽をした、嘴の長い鳥が道路を横切る。Hoopoe Larkである。嘴は長く、ノミのようにやや下に曲がっているが、一体どのように適応した結果なのだろう。

 この日はHiji泊。タンドリーチキンを丸一匹食べ、ナンとカレーで500円ほど。物価の高いオマーンだが、食事は安いようだ。

 遠くでロバのいななきを聞きながら、夜11時前に就寝。


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