インド・Gujarat出
2005年1月17日 - 1月23日

「うーん、あんまり気が乗らないなあ」。今回の会議の出張先を聞いたときの第一印象である。良くも悪くも、あくまでも自分の個性を主張するのを最優先にしているのがインド人であり、藤原新也や沢木耕太郎の本で読んだ、混沌とした世界しか頭に浮かばない。インドに行った人は、インドの魅力にはまり、その後の人生を変えてしまうか、アクの強さに辟易し、二度と訪問しないと誓うかのどちらかと聞く。さて、自分はどちらだろうと考えながら、1月17日の早朝、コタキナバルの空港へ向かった。

コタキナバルからの飛行機が故障のため、出だしから出発が1時間遅れる。「クアラルンプールで4時間近く待つからエエわ」という気持ちと、「えらい幸先悪いやン」という気持ちが複雑に入り混じった出発になった。

クアラルンプールからはAir India。空港のゲートに並ぶ人の列は9割がインド人。いつもは幅を利かせている中国人もここでは肩身が狭いのか、大人しくしている。約30分遅れでクアラルンプールを出発。なんと、離陸の最中から通路をうろうろ歩き回る人、携帯を鳴らす人らが続出。フライト・アテンダントが小学生でも叱るかのように、「頼むから、席に座ってくれ!」と何回もアナウンスを繰り返している。先行きが思いやられるなぁ・・・。

KLからわずか3時間半ほどでチェンナイだ。着陸態勢に入って、窓の外を眺めると、茶色く淀んだ空気の層と青い澄んだ空気の層が地上から数キロのところで綺麗に分離している。エラい大気汚染や・・・。チェンナイでは降機する人のみ下ろし、新たに客を積んで1時間程で離陸した。

ムンバイ到着は予定より少し遅れて15:30。アーメダバッドへ行く国内線の出発は17:00。「世界最悪の空港」と誰もが評価するムンバイで果たして無事に乗り継げるか。「長蛇の列でうんざりする」という入国手続きは到着後わずか10分で終了。「こら、大丈夫」と思ったら、「兄ちゃん、荷物ここで拾っていかなあかんデ」と係員に止められる。コタキナバルでは、「アーメダバッドまでスルー」と聞いていたのに、話がちゃうやん?インド人の出鱈目ちゃうか?と思って、baggage claimのインド航空の係官に聞くとやはり同じ返事。どううやら本当に荷物を拾わなきゃいけないらしい。オイオイ、乗り継ぎ時間ないぞ!

他の乗客の荷物は出てきても、一向に自分の荷物は出てこない。最後まで出てこなかったので、仕方なく再びbaggage claimのカウンターへ。「荷物出てこーへんので、何とかして!」と言うと、"No problem, Don't worry"と一人の係官が言って、スタスタとimmigrationを通り抜けていった。10分経っても戻ってこないので、やきもきしていたところ、荷物を持って出てきてくれた。簡単に礼を言って、トランジット用のバス乗り場へ。これがスタッフの休憩室?の裏にあり、なんとも分りにくい。ちょうどバスが出るところで、「あと40分しかない」と言ったら、またしても「ノープロブレム」。ホンマかいな・・・。

ムンバイの空港には国際線に2つのターミナル、国内線に実質2つのターミナルがある。その端っこから端っこへの移動となった。空港の敷地内には、カタグロトビ、インドアカガシラサギといった連中が佇んでいる。ほのぼのしているなぁ。

Indian Airlineのターミナルに着いた時には、既に30分前。急いでるっちゅうのに、バスのドライバーが、「チップよこせ」。そういや、さっきのインド航空のスタッフはチップ要求せーへんかったな。アイツの仕事の方が面倒やったやろに。

なぜか到着ロビーにバスが着いたため、出発ロビーまで駆け足で上がる。空港の係官みたいなオッサンに「落ち着け」と言われるが、乗り過ごしたくなかったので、とっとと出発ロビーへ。アーメダバッド行きのカウンターは既に閉まったらしく、どこでも良いから適当に並んでいると、後ろの人から、「セキュリティ・チェックに荷物通さなあかんで」と教えられる。慌ててセキュリティチェックを済ませると、やらんでもええのに、のんびりと荷物を紐で括ってくれた。

搭乗券を受け取った段階で出発まで後20分。今度は手荷物検査の列で待たされる。オイオイ、間に合うかなぁ・・・。インドのこの辺りのチェック機能は実に非効率的で、まずは搭乗券のチェック、続いて荷物と人が別々にチェックされ、最後に念のためもう一度チケットのチェックがある。

自分の乗る飛行機の搭乗は既に始まっており、駆け足で飛行機に乗り込み、席に着いて一息着いたら、音沙汰もなく動き出した。搭乗券は持っていても、出発時刻までに乗っていなかったら、ひょっとしたら待ってくれへんかったんちゃうやろか・・・。

アーメダバッド着は18:00。荷物を受け取り、会議側がアレンジしてくれた車を探す。「んー、名前ないなぁ。ちょっと待ってな」と10分ほど待たされた後、無事にホテルへ向けて出発。外はさほど気温が高くないにもかかわらず、大きなやぶ蚊が沢山飛んでいる。マラリアに罹らんやろな・・・。

ホテルに着くまでの道中は、そりゃあもう、インドらしかった。車はクラクションを鳴らしっぱなし、リクショーやバイクが脇から次々に割り込む。車線はあってないがごとく。対向車線も車がこない限り走る、走る。無秩序以外に言い様がない。アーメダバッド市街に入ると、コンクリートの中央分離帯が狭い道路を更に狭くしている。「なんでこんなもん、あるんやろ」と見ていたが、単純に逆行する車を防ぐため以外の何ものでもなさそうだ。

ホテルはどうやら普通のホテル。部屋に入ってテレビをつけたら、強烈な踊る映画ばっかり。シャワーは予想してものの、熱いお湯が出ない。しゃーない、ここはインドや。何があっても驚かへんぞ!

こうして、異次元の国の最初の夜は、車とバイクとリクショーのクラクションの音の中で暮れていった。


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