ボルネオ・キナバル山探鳥記
2002年1月26‐27日

 ある研究機関からの依頼でマレーシアでエコツーリズムの現状を調査することになった。マレーシアは1998年から2年間過ごした土地で、毎週末のように山や森に出かけていた私には、比較的楽しめる仕事だ。半島部に関しては、既に充分に情報を持っていたので、関係者のインタビューのみに的を絞る。一方、政策的にも全く異なるというボルネオを無視するわけにはいかない。残念ながら、後のスケジュールまでみっちり詰まっていたので、ボルネオでの時間はせいぜい2日半しかない。そこで、空港に近いキナバル国立公園への訪問を決める。あとで分かったことだが、仕事の上でこの選択はかなり良いものであった。

 キナバル山へ行くと決まったら、途端に鳥を見たくなった。せっかくだから、鳥を見ない手はない。2日半を有効に使う上で、空港でレンタカーを借り、25日中に仕事を済ませて、2日間をみっちり鳥見に充てることにする。

 図鑑を見ると、キナバルには案外鳥が多い。Whitehead's Trogon, Golden-naped & Mountain Barbet, Hose's & Whitehead's Broadbill, Blue-banded Pitta, Kinabalu Friendly Warbler, Mountain Blackbird, Indigo & Bornean Blue Flycatcher, Whitehead's Spiderhunterなど。数えてみたら、40種程度新たに見られる可能性があった。図鑑、双眼鏡、望遠鏡、カメラ・・・。必要なものを鞄に詰め込み、出国の日を待った。


 1月25日 Kuala Lumpur - Kota Kinabaru

 クアラルンプール国際空港12時発。コタ・キナバルまでは2時間半かかる。コタ・キナバル空港着14:45。予定より少し遅れて到着。国内なのに、ここではパスポートのチェックがある。

 空港でレンタカーをピックアップし、コタ・キナバルの街へ。コタ・キナバルは近代的な街並みの中にアジアらしい雑然さが混在している。それでも、クアラルンプールなど、半島部の街と比べると、よほど綺麗だ。時折吹く風が潮くさい。海が目の前に広がり、市場が並んでいる。

 予定通りサバ州の公園事務局の関係者に面会し、最後の仕事を終える。後はキナバル山へ行って、鳥を見るだけだ。


1月26日 Kota Kinabalu -  Park Head Quarter - Poring Hot Springs - Kinabalu Park H.Q.

 早朝4時半に起床。5時半過ぎにチェックアウト、スーツケースをホテルに預け、キナバル国立公園へ向け出発。道路事情は良い上、交通量は少なく、ついつい飛ばしてしまう。

 公園へ行く道路標識がなく、途中2箇所ほど道を間違えたが、無事に公園へ向かう道路に入る。キナバル公園事務局までの道は急な登りである。途中、電線上にところどころツバメの群れを見る。時々白い腹の鳥が見えたが、モリツバメらしい。

 途中、4000mを超えるというキナバル山の後ろから、日が昇るのを見る。ゴツゴツとした岩肌は、頑強そうな印象を与える。

 公園事務局に着いたのは朝の7時半過ぎ。事務局は登山客で賑わっていた。幸い天気は快晴。事務局の建物の周りを飛び回っているのはChestnut-crested Yuhinaらしい。小さな群れが幾つか樹冠部を移動していく。周遊道路に入ってすぐに出会ったのはBlack-sided Flowerpecker。東南アジアのFire-breasted FlowerpeckerとオーストラリアのMistletoebirdを足して割ったような羽色をした鳥で、喉の赤が目立つ。続いて、ヒタキらしい鳥影を見つける。Bornean Mountain Whistlerだ。全体的に黄色っぽい色をしており、図鑑で見るよりも綺麗な鳥だ。モズヒタキ類特有の口笛っぽい声は聞かれなかったが、独特の大きな頭はすぐにその仲間と分かる。

 公園事務局のビジターセンターの傍で、鮮やかな青い色をした小鳥と出会う。Indigo Flycatcherだ。Verditer FlycatcherやPale Blue Flycatcherを思い起こさせる色調だが、腹部の白と額の淡青色ですぐにそれと分かる。あまり警戒心のない鳥と聞いていたが、すぐに藪に入ってしまった。


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