オーストラリア東部縦断バードウォッチング


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シロクロモズガラス (Pied Butcherbird)は美声の持ち主
© 2007 Koji TAGI

この旅行記は、1996年7月にオーストラリア東部を回った時のものです。


序章                                                                

 懸念の研究課題をすべて終えた6月、久しぶりに遠出をしたくなった。既にケアンズ、ダ−ウィンに2回ずつ、マウント・アイザに1回出かけていたので、当然ながら目は南に向かった。タスマニア、ヴィクトリア、サウス・オ−ストラリアを回れば30種は新しい鳥が見られるだろうと計画を練る。問題は資金と時間であり、7月16日には大阪からK氏やM氏らがシ ドニ−に到着する。最低15日にはシドニ−近郊に戻らねばならない。飛行機ならばすべて回ることも可能だったが、経費がかかり過ぎるため、タスマニアをあきらめる。更に、現地での確実性を期すため、メルボルンに赴任されたTS氏に連絡をとる。 

 今回の目的はPink Robinに会うこと、Neophema Parrotを3種以上見ること、Grasswren2種に出会うことだ。友人のAllan Richardsの話ではこの時期の天候はあまり良くないということだったので観察を主体に計画を組む。最後に日程を決め、7月5日に家を出ることにする。      


7月5日  Forest Hill - Mama Creek - Warwick - Goondiwindi - Moree - Nyngen

朝6時半、まだ暗いうちに家を出る。Mama Creekあたりで御馴染みのBar-shouldered Doveの群れに会う。車道に出てきて何度も轢きかける。Warwickから西に折れ、Goondiwindiに出る。途中でRed-rumped Parrotが車道を横切る。雄のきれいな個体が入っていた。Moreeまでは天候も良く、Badgerigar, Cockatielらが道路脇から飛ぶのが見られた。ニュ−・サウス・ウェ−ルズ州の中央部に入った頃、低気圧の影響で雨が降り出し た。予定していたWarrenでのSuperb Parrotの観察を取り止める。大雨の中、Black Boxの中からSuperb Parrotの雌が飛び立つ。車道脇からBlue-winged Parrotらしき小群が飛び去るも識別不能。雨が恨めしい。夕方6時過ぎ、Nyngenの町に入る。 


7月6日 Nyngen - Cober - Broken Hill - Peterborough - Port Augusta

移動日二日目。雨はすっかりやみ、朝から晴れ上がる。カンガル−に注意しながら車を西へ走らせる。Coberあたりからmalleeの美しい樹海が目に飛び込む。時折Galahに混じってPink Cockatooの姿が目に留まる。朝の光を浴び、桜色の羽が一層引き立つ。水たまりには色々な鳥が下りており、運転に気を遣う。Spotted Bowerbirdが出た時にはさすがに少し驚かされた。Broken Hillが近づくと、それまでよく出ていたBlue Bonnet に代わり、Mulga Parrotが目につくようになる。Broken Hillは砂漠の中のオアシスのような町だ。spinifexの丘に囲まれたマウント・アイザとは異なった印象を持つ筈だが、 鉱山の町であるためか、町の雰囲気はよく似ている。ただ荒野としか言えないような丘 の上をBlack-breasted Buzzardがゆったりと飛ぶ。

Broken Hillの町を抜け、Peterboroughまでの間に二回休息を取る。サウス・オ−ストラリアに入る手前でWhite-winged Fairy-wrenの群れに出会う。本来はblue bushなどの開けた環境を好むようだ。Chirruping Wedgebillに初めて出会う。じっくり観察したいところだったが、立入禁止の立て札が目に入ったので、すぐに探鳥を止める。サウス・オ−ストラリアに入ってすぐ、Redthroatを見つける。地味な鳥を想像していたのだが、雄 の喉の赤褐色が目につきなかなか印象深い。声もコヨシキリを少しほうふつさせる陽気な声で、明るいところに止まってさえずるので、じっくり観察できた。これがヤブムシクイの仲間とはとても信じがたい。 

Peterboroughを過ぎると山道になった。はげ山に近い樹木のほとんど生えない山々が独特の景観を作り上げている。どうやらFlinders Rangesの南側をかすめて通っているよ うだ。

山道を抜けると突然視野が開けた。目指すPort Augustaは近い。海が見えるのに林が全然ない。海岸沿いはsamphire(サンゴソウの仲間?)が茂り、それからすぐにblue bushが生えている。何とも不思議な景観だ。 

その日の夜はバロッサもののワインとカルボナ−ラで疲れを癒した。


7月7日 Port Augusta - Lake Gillies Conservation Park - Iron Knob - Port Augusta - Hawker - Lyndhurst

天気予報によると晴れるのは今日を含め3日間だけだそうだ。Lake Gillies を目指し、車を飛ばす。Iron Knobを過ぎたあたりからmalleeの林が見えてくるようになった。1時間半ほどでLake Gillies Conservation Parkに到着、すぐに探鳥を開始する。Red WattlebirdとYellow-plumed Honeyeaterが多い。奇妙な声の主はSpiny-cheeked Honeyeaterだろうか、これも多い。どうやらユ−カリが花季を迎えつつあるようだ。Port Lincoln Ringneckが樹間を縫うようにして飛ぶ。声も容姿もMallee Ringneckとはまっ たく異なるのにどうして同種なのだろうか。 「ジ−ッ」という昆虫のような声の主は予想外のPurple-crowned Lorikeetだった。喉から腹にかけての青緑色が美しい。 

ここでの目当ては3種の西オ−ストラリアの鳥だが、なかなか見つからない。1時間を 過ぎた頃、目の前をtreecreeperらしきものが飛び去る。木に止まったのを見る。赤茶色が目に飛び込んできた。Rufous Treecreeperだ。採餌はもっぱら地上のようで、警 戒すると木の枝に止まる。行動は同属のBrown Treecreeperそっくりだ。Walking Trackをはさんだ反対側のやぶにはwrenが見え隠れする。どうやらBlue-breasted Fairy-wrenらしい。雄のきれいな個体がいないので、識別に手間取る。Variegated Fairy-wrenに酷似するも、灰褐色味が強く、腹部とのコントラストがきつい。声は一層細いようだ。このあたりにはVarigatedは分布していないので、間違いはないはずだが、雄の生殖羽がいないのは物足りない。Whistlerの声をよく耳にするので、Gilbert'sかRufousを想像していたら、出てきたのはGolden Whislterだった。malleeにいるはずがないと思いこんでいたので、予想外の出現に驚かされた。

Port Augustaに戻る途中にIron Knobの草原に立ち寄る。ここは以前にはThick-billed Grasswrenが観察されていた所だ。広大なblue bushの草原が広がり、White-winged Fairy-wrenがあちこちから顔を出す。Redthroatが穂先に出てさえずる。細かい鳥が うろうろしていると思ったら、初顔のSlender-billed Thornbillだった。この仲間はやはりどれも大差がなく、感動も薄い。

Port Augustaで昼食をとり、近くの公園で休息をとる。Silver Gullがやけに沢山集まっているなあと思って双眼鏡を当てると、半分近くはBanded Stiltだった。この鳥は集団 性が強い上、泳ぐのを得意としているらしく、まるでカモメのようにプカプカ水に浮いているのだった。Coorongで見る予定にしていたので、予想外の出現に少し得をした気分になる。

Port AugustaからFlinders Rangesに向けて車を走らせる。 標高は1,000m以上あるのに、周囲にあまり高い木がなく、独特の景観だ。Hawkerを過ぎたあたりからはいよいよ木を見ることも稀になってきた。殺風景だが雄大な景色が延々と続く。集落ごとに沼や川があり、オアシスがそのまま集落になっている。 

Lyndhurstは舗装路の終点である。ここから先は500km以上舗装路がない。憧れのBirdsville Trackはこの先だが、今回は時間がない。Strtzelecki Trackに少しだけ入って、Thick-billed Grasswren, Chestnut-breasted Whitefaceなどをみつけるのが今回の目的だ。舗装はされていないが、案外道幅が広いのに驚く。規格もCape Yorkの道よりも良いのではないだろうか。もう一日見ておけばEyrean Grasswrenのポイントまで行けたのに、と後悔する。LyndhurstのGrasswrenのポイントは予想以上にわかりにくかった。キロ数を目安に適当な所で止めて鳥を捜す。出てくるのはWhite-winged Fairy-wrenば かりで、grasswrenと紛らわしい。「チ−」という聞き慣れない声に目を向けると、Cinnamon Quail-thrushだった。随分開けた環境に住んでいるものである。町に戻る 途中、小さなため池に寄る。Pink-eared Duck, Pacific Black Duckが慌てて泳ぎ出す。随分内陸にまで入り込んでいるものである。結局この日はgrasswrenに会えずに終わっ た。 

Hotelで夕食のあてに色々なビ−ルを試す。West EndやCoopersなど知らない銘柄のビ−ルが多く、結構楽しめた。Coopersはアルコ−ル度数が6.5%と高く、オ−ストラリアでは 珍しいのではないか。田舎の夜というのは暇である。7時半にはとっとと寝ることにし、ベットに入り込む。

7月8日 Lyndhurst - Port Wakefield

砂漠の朝は寒い。日が昇ると一気に気温も上がる。とたんにhotelの回りで鳥が鳴き出した。その中にHouse Sparrowが混じっていたには、驚かされた。人さえ住んでいればどこにでもいるのだろうか。 

朝一番は前日見逃した鳥たちからやることにする。天気も良く、風もないのに相変わら ずWhite-winged Fairy-wrenくらいしか目につかない。さんざん捜して、ようやっとChestnut-breasted Whitefaceを見つけたが、すぐに飛んでしまう。愛想の悪い奴だ。少し場所を変え、古い鉱山のあるポイントで再度挑戦する。gullyに沿ってblue bushが 随分茂っている。何か細い声を聞いたと思ったら、20m先のblue bushから何か飛び出した。White-winged Fairy-wrenにしては声が細過ぎると思って歩き出すと、茶色い鳥が出てきて、すぐに飛び去った。Thick-billed Grasswrenに間違いない。Grasswrenにしては珍しく、ちゃんと飛ぶようだ。よく耳を澄ますとあちこちで声がする。それにして も見にくい鳥だ。それから1時間近く費やしたが、それっきり姿を見ることはできなか った。 

前日行ったため池にWhite-winged Wrenを撮るために立ち寄る。警戒心が強く、なかなか近寄れない。そうしていると、blue bushの穂先に別の鳥が目に入ってきた。尾羽を立てているのを見て確信する。Rufous Fieldwrenだ。地味でつまらない鳥と思っていたが、なかなか渋くて美しい。さえずる姿も尾羽を上げて格好良い。繁殖期が近いのか、雄らしき鳥が雌らしき個体をしきりに追いかけている。鳴きまねをすると尾羽を立てて近寄って来た。印象としてはScrubwrenの仲間よりもgrasswrenやfairy-wrenに近い。

そうこうしているうちに昼になってしまった。Mareeまで行ってGibber Chatを捜すつもりだったが諦めざるをえないようだ。Lyndhurstへ戻り、南へ下り始める。途中鳥のいそうな所で何度か車を止めるも、今一つぱっとしない。Chirruping Wedgebillが沢山い る所で車を止めたが、それだけで後は何もいなかった。随分沢山いると思っていたら、何個か巣が見つかった。地上からせいぜい2mの所である。天敵もいないのだろう。 

今日の宿泊先をPort Wakefieldに決め、ただ車を走らせる。5時にようやくMoteに到着し、食事を済ませ、すぐにベッドに入った。 

7月9日 Port Wakefield - Port Prime - Port Gowler - Parra Wirra Recreation Park - Outer Harbour - Adelaide - Murray Bridge

 朝から天気がぱっとしない。Port PrimeかPort GowlerでElegant ParrotとRock Parrotを観察するのが今日の目的である。Port Primeまでわずか30分、ハイウェイをそれて、すぐに鳥を探し始める。Adelaide Rosellaが庭先から顔を出す。オレンジの独特の色彩だが、Crimson Rosellaほどの鮮やかさはない。Yellow Rosella同様中途半端な印象を持った。茶系統のインコが2羽道端を横切った。Elegant Parrotを期待して探すと、出 てきたのはBlue Bonnetだった。こんな海岸沿いまで分布しているとは知らなかった。 続いて約15分でPort Gowlerに出る。ここではsamphireの中を歩いてみるが、出てくるのはRed-rumped Parrotばかりである。予定外のBlack-eared CuckooやBlack-tailed Native-henが出るも期待外れである。3種のwren(Superb, Splendid, White-winged)が分布を重ねて住んでいるのはなかなか興味深かったが。干潟では300羽以上はいるであ ろうトウネンと約10羽のサルハマシギが混群を形成していた。彼らの大半は一見冬羽のようであったが、恐らく若い個体なのであろう。

 インコを諦め、Parra Wirraへ向かう。サウス・オ−ストラリアは標識が少なく、道を見 つけるのに一苦労である。さんざん迷って、ようやく到着、すぐに探鳥を始める。植生は大分水嶺山脈西側のopen forestに似ていると思っていたら、Scarlet RobinやWhite-naped Honeyeaterが顔を見せた。鳥もどうやら大分水嶺山脈西側と同じ雰囲気らしい。North Ovalの近くでCrescent Honeyeaterに出会う。 雄は渋い灰青色と黄色の羽が美し い。声は今ひとつさえないが、ミツスイにしては個性が強く、好きになってしまった。Parra Wirraを昼過ぎに出て、Outer Harbourへ立ち寄る。うまく行けば、Parrotに会えると思っていたが、結局出たのはBlack-faced Cormorantくらいであった。 

7月10日 Murray Bridge - Mosquito Point - Victor Harbour - Newland Head  Conservation Park - Murray Bridge - Tailem Bend

  予備の日程をどこで消化するか決めかねていたが、あまりに見たいものが見られていなかったため、この日をもう一日Elegant Parrot探しにあてる。最初に訪ねたのはMosquito PointというLake Alexandrina湖畔の北岸である。周囲の湿地でCape Barren Gooseを見つける。 家畜のシナガチョウやガチョウに混じっていて、野生味がない。 Red-necked AvocetやFairy Ternが採餌に忙しい。

電線に中型の鳥が止まっている。Spotted Turtle-doveだと思って見たら、季節はずれのPallid Cuckooだった。この寒い冬にいったいなぜいるのだろうか。 

Victor Harbourへ抜ける途中、Goldfinchの群れを見かける。一緒に採餌していたのが Red-rumped ParrotとCommon Mynaで、誠にInternationalである。

Newland Head Conservation Parkに着く頃、予想外に空は晴れ上がっていた。晴天の中、海上を眺めると、Black-browed Albatrossが遠くかすんで見えた。砂浜にはCrested Ternの群れが休んでいた。さらに遠くを望遠鏡で追っていると、頭の黒いチドリが目に入ってきた。Hooded Ploverだ。Victoriaで見せてもらうつもりでいたので、少し得をした気分になる。頭の黒に加え、嘴の赤が鮮やかで、印象深い。駐車場に戻ると、heathから飛び立ったRock Parrotのペアを目にする。逆光で色彩がはっきり見えない。HeathのやぶからSinging Honeyeaterが顔を見せる。今回はなぜかどこにでも姿を見せる。もともと南の方が多い鳥なのだろうか。Heathの中を歩いていると、足下からハトが飛び立った。Brush Bronzewingだ。図鑑で見るよりも額の黄色が鮮やかだ。 

色々鳥が出るので、山側のWalking Trackも歩いてみることにする。WattlebirdとNew Holland Honeyeaterがやたらに多い。「ジ−ッ」という声を聞いたので、ユ−カリの樹冠 を注意深く探す。小さめの色鮮やかなインコがじきに見つかった。Purple-crowned  Lorikeetは何度見ても飽きない。じっくり見ようとしたらRed Wattlebirdが追い出してしまった。意地悪な嫌な奴だ。 

Murray Bridgeに出る途中、もう一か所Conservation Parkに立ち寄る。こちらの方は Malleeがずいぶんと茂っている。林の中に2kmほどのWalking Trackがある。malleeの中に入らなくて済むのはありがたい。天気が不安定なため、鳥の出はあまりよくない。Spiny-cheeked Honeyeaterばかりが目につく。聞き慣れないミツスイの声を聞いたので注意深くやぶの中を探す。malleeの中から出てきたのはPurple-gaped Honeyeaterだっ た。Yellow-tuftedやSingingに少し雰囲気が似ている。malleeの遺存種で、花季以外は姿の見にくい鳥らしい。

「ヒ−ッ」という細い声を聞いたので、scrub-robinと思って鳴きまねをしたら、やぶか ら出てきたのはShy Heathwrenだった。 この鳥も尾羽を立てるようで、grasswrenの大型種のような印象だ。名前とは異なり、案外好奇心が強いらしく、鳴きまねによく反応する。 

malleeの中で意外なものも見つけた。wrenの声がするので呼び出してみると、splendidではなく、blue-breastedだった。Eyre Peninsulaあたりが分布の東限のはずなのだが どうしてこんなところにいるのだろう。オ−ストラリアの鳥の分布に関しては、まだまだわからないところが多いのかもしれない。

7月11日 Tailem Bend - Lameroo - Billiatt Conservation Park - Lameroo - Ouyen- Hattah/Kulkyne National Park - Ouyen

朝から天気がすっきりしない。 今日は未舗装路を多く走るので、不安が残る。 

Lamerooで道を北に折れ、未舗装路を上がる。予想より良いと思っていたら、すぐにベ トベトのぬかるみのような道に変わった。路肩に注意して車を止める。malleeの中からYellow-rumped PardaloteやYellow-plumed Honeyeaterが姿を見せる。spinifexが案外多く、grasswrenやemu-wrenが期待できそうだ。水たまりにMallee RingneckやMulga Parrotが来ている。spinifexの中からはStriated Grasswrenらしき声を聞く。テ−プを流して反応を聞くが、それっきり鳴かない。あきらめて車道に戻る。 

道路脇のやぶから小型のインコが顔を出した。逆光で色がよく見えないが、上面は黄緑らしい。大きさからMulgaやRed-rumpedではないようだが、なんだろう。 そうこうし ているうちに飛んでしまった。 顔が青い、腹部は黄色だ。 こんなパタ−ンを持ったのは2種しかいない。 そのうちの1種、Turquoiseは分布から1,000kmくらい離れている。Scarlet-chested Parrotのようだ。止まってくれることを祈るが、遠く飛び去ってしまった。 雨の後の赤土の道はグリップが全然効かない。横滑りばかりするので、探鳥を中止してLamerooへ戻る。 車は泥だらけだ。 Ouyenに出る途中、ガソリン・スタンドで洗車しようとしてスタンドのオヤジに聞くと、「Ouyenに向かうんだったら、洗うだけ無駄だよ」 と言われ、洗車をあきらめる。 案の定、雨の後で舗装されていても、泥を巻き上げる。迷った末、Hattah/Kulkyneに行くことに決める。 おなじみのMalleeの鳥たちが顔を出すも今一つさえない。 ここで一層車を汚し、ガソリン・スタンドで給油に出てきた女の子にずいぶん汚い車だと、笑われる。 周りを見れば、みんな同じような車ばかりなのだが…。

7月 12日 Ouyen - Hattah/Kulkyne National Park - Hope Toun - Wyperfeld NationalPark - Horsham - Ballarat - Melbourne

Striated Grasswrenに出会える可能性のある最後の日だ。朝一番はHattah/Kulkyneの狭いMalleeの一角に決める。数年前にStriated Grasswrenが観察された場所である。気温の上がる9時前後まで途中で時間をつぶす。国立公園内は昨日同様道が悪い。目的地まで運転に細心の注意を払う。 

到着後、spinifexに沿って歩き始める。1時間程歩いてからだろうか、聞き慣れないwrenの声を聞く。emu-wrenの仲間は濁った声で鳴くし、fairy-wrenは澄んだ細い声で鳴く。Striated Grasswrenに違いない。そう確信して、周囲を注意深く探す。見つからない。しばらくして、ずいぶん離れたところで声がする。約1時間半、そうやって追いかけっこをしていたが、10m以内にいるとわかっていても見つからない。 知人のAndy Andersonがgrasswrenの中で最も見つけにくいと言っていたが、本当にそのようだ。NTのWhite-throated、Queensland州北部のCarpentarianは狭い範囲を出たり入ったりしていたので、難しいなりにも見つけられたが、こいつはさっぱりみつからない。時間があまりなくなってきたので、Wyperfeldにいることを祈ってあきらめる。 

Wyperfeldまで約2時間、Hattah/Kulkyne同様よく整備された国立公園に到着。公園奥 のWalking Track入口まで車で行く。こちらはほとんど雨がなかったのか、道の状態が良い。入口のGum Treeの林から、奥に行くに従って、Malleeが出てくる。 

Walking Trackを歩いていると、「ピピピピピ…」と単調だが、聞き慣れない声がする。 しきりに木の枝先を捜していたが、見つからない。声のする方に近寄ると、足下から羽音がしてChestnut Quail-thrushが出てきた。何羽かいるのでじっとしていると、その うちの一羽が低い枝先に止まってさえずり始めた。普段は地上性なのに、さえずる時だけは枝先に出てくるようだ。道を挟んで反対側のやぶからはSouthern Scrub-robinが顔を出した。鳴きまねをするとすぐに寄ってくる。 好奇心が強いのか、縄張り意識が強いのか、いずれにしても面白い鳥である。近くで見ると尾羽の赤茶色が案外目立つ。2時まで粘ったが、結局grasswrenには会うことができなかった。 

S氏に会う時間から逆算して、時間があまりないので、車をかなり飛ばす。 

Ballaratから先は4車線になり、道も良く、7時にはMelbourneに到着した。 

Melbourneの街中でS氏に会い、久しぶりに焼き鳥をごちそうになった。氏はカナダ のトロントに以前住んでいらっしゃったこともあり、北米の鳥の話をずいぶん聞かせていただいた。 オ−ストラリアでは随分鳥を絞り込んで見ていらっしゃるようで、何を見てもある程度楽しめる私に比べ、余裕を持っていらっしゃるように見えた。日曜日に地元のバ−ダ−の案内でOrange-bellied Parrotを探すことになっているそうなので、明日の メインをPink Robinに置いて、11時に寝床についた。

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