ブータン探鳥記

ブータン晩秋探鳥記 2011年11月20-26日 


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ヒマラヤダルマエナガ© 2011 Koji TAGI
今年最後のブータンへの渡航は11月20日から27日の一週間。毎回業務の合間を縫ってのバードウォッチングだが、今回の目当ては冬鳥たち。標高の高いブータンだが、チベットやヒマラヤの高地で繁殖した鳥たちが越冬にやってくる。前回、前々回の渡航で見られなかった、トキハシゲリ、ジョウビタキの仲間、rosefinchの仲間が期待できるだろう。
 
 土、日にあたる11月20−21日にガイドを頼むことにする。11月という観光のピークシーズンにもあたるためか、前回案内してくれたTshering Puntshoも、Thimphuで会ったHisheyもツアーで出払っているらしい。ガイドは王立自然保護協会を通じ、同団体でシロハラサギ(White-bellied Heron)の調査、研究を行っているTshewang Norbuに頼むことにする。Tshewangとは、RSPNの事務所で何回か顔を合せていたが、これまであまり話したことがなく、人柄について知らなかったので、王立自然保護協会で一緒に仕事をしているChokiに聞いてみると、「heron(サギ)と呼ばれていて、大人しいよ」とのこと。ただ、めっぽう鳥好きらしく、仕事を休んでまで、バードウォッチングのツアーに出て行くような人であるらしい。
 
 Tshwangとは、20日の午後にホテルの前で合流。見た目は加藤茶のような風貌だが、確かにあまり話しをしない。まずはThimphu市内からさほど遠くないDodina地区へ。Dodinaでは、Yellow-rumped Honeyguide(インドミツオシエ)が見られる場所があるという。一度5月に出会っている鳥だったが、見られるなら嬉しい。「ここだよ」というTshewangの声で車を降りると、なるほど、giant rock beeの巨大な巣が見える。前に、このハチの巣があるそばにhoneyguideはいると聞いたが、確かにこれならいるのかもしれない。残念ながら、この日は見つけることができなかった。
 「秋の陽はつるべ落とし」と言うが、11月末のブータンの日没がこんなに早いとは知らなかった。午後3時半にはすでに日差しがかなり傾いている。深い渓谷には大きな影ができており、鳥は見づらい。Dodinaの近くでようやくジョウビタキを一種類見つけるが、Blue-fronted Redstart(ルリビタイジョウビタキ:写真左)のようだ。以前、3月にブータンへツアーで来ていたワイ・バードの知人にジョウビタキの仲間でこれが一番多いと聞いていたが、確かに、この後もひっきりなしで見かけることになる。オスはルリビタキのような渋い青と、ジョウビタキ類特有のオレンジ色のおなかのコントラストが鮮やか。声は「クリリリリッ」と日本のジョウビタキではあまり耳にしたことのないような声で、オジロビタキを思い出した。
 
 二日目は早朝5時にホテルを出発。ホテルで食事ができるか交渉したが、4時半と伝えると目を丸くして、「無理!」と言われた。まぁ、やむをえまい。11月末のティンプーの朝は相当冷え込んでいて、5度くらいだろうか。真っ暗な道をパロまで下る。道中、数え切れないほどの見事な星空を楽しめた。
 
 今日の目的地はChele La峠。5月に訪問した時には、沢山のBlood Pheasant(ベニキジ)やKalij Pheasant(ミヤマハッカン)に、Collared Grosbeak(キバシキンクロシメ), White-winged Grosbeak(ハジロクロシメ), Slaty-blue Flycatcher(カオグロヒタキ)など、高標高地ならではの鳥たちに出会うことができた。
 6時前にChele Laへの登り道を登り始める。鳥の出が悪く、前回あれほどたくさん見られたKalij Pheasantも出てこない。標高3,000mを超えたところだろうか、目の前を大きな鳥が横切った。鮮やかな青い羽根、緑色の頭に玉虫色に光る背中、間違えようがない、Himalayan Monal(ニジキジ)のオスだ。出会いは一瞬で、あっという間にシャクナゲの林に消えて行ったが、ようやく少し鳥を見に来た雰囲気になった。
 
 Chele Laには7時前に到着。4,000m近いだけあって、かなり寒い。風がないのがせめてもの救いだ。乾季と言われるだけあって、空は晴れ渡り、見事な青空だ。遠く7,000m級のチョモラリ峰まで見える。峠付近の藪からはBlack-faced Laughingthrush(キンバネガビチョウ)の声が響き、Rufous-vented Tit(カンムリシジュウカラ)やWhite-browed Fulvetta(ノドジロチメドリ)が餌を探して活発に動き回っているのが見える。薄茶色の体に褐色の縦斑が目立つ鳥はWhite-browed Rosefinch(マミジロマシコ:写真上右)のメスのようだ。見通しの良い枯れ枝に止まっているのはBlue-fronted Redstartのオス。さらに、見慣れないジョウビタキの仲間が止まっている。濃い灰青色の頭に羽にある一条の白線から、White-throated Redstart(ノドジロジョウビタキ)とすぐに分かった。ジョウビタキの仲間では最も見栄えのする種のひとつだけに、見たかった鳥だ。その後、キバシリ(写真下右)、White-browed Rosefinchのオス(写真左下)、White-throated Redstartのメスなどが出現。上空を猛禽が飛ぶ。ずいぶんと暗色だが、ノスリだ。
 
 それにしても鳥が少ない。ヤマヒバリの仲間やrosefinchの仲間がもっと出ても良さそうだが、鳥影すらあまり見かけない。標高3,000mくらいまで下って、ようやくRufous-vented Tit, Grey-crested Tit(ハイイロカンムリガラ), ヒガラなどのカラ類に出会う。藪の中からはHimalayan Monal(写真下右)やBlood Pheasantの声が響く。暗い針葉樹とシャクナゲの森では、大型のキジの仲間とはいえ、容易には見ることはかなわない。ようやくの思いでHimalayan Monalのメスの群れに遭遇。警戒心が強く、素早い足取りで藪から藪へ移動していく途中だったが、なんとか記録写真ながら撮ることができた。
 
 期待していたrosefinchやヤマヒバリの仲間には結局ほとんどで会うことができず、消化不良のまま2,500mくらいまで降りてきたところで、小鳥の混群に出会う。松の木のてっぺんに止まっていたのはHodgson’s Redstart(ハイバネジョウビタキ:写真左)。普通に見られる鳥と思っていたのに、ようやく出会うことができた。藪の中で賑やかに鳴いているのは何の鳥だろう?Tshewangが、「parrotbillだ」と言うので、藪から出てくるのを待っていると、ヒヨドリくらいの大きさのずんぐりした小鳥が姿を現した。藪から藪へと、丸くて短い羽根を小刻みに羽ばたきながら移動する様は、やっぱりチメドリの仲間。双眼鏡を車の中に忘れたので、望遠レンズを通して見ると、黒い頭側線がよく目立つ。どうやら、Brown Parrotbill(ヒマラヤダルマエナガ)のようだ。この鳥、あまり警戒心は強くないが、ササの茎に器用に止まり、茎の中の虫を食べている。”parrotbill”と言われるゆえんの太い嘴はササの茎を割って中の虫を取り出すのに使われているらしい。
 
 昼食をパロの街中で食べた後はパロの郊外の水田地帯でBlack-tailed Crake(オグロクイナ)探し。田んぼ脇の湿地で良く見られるらしいが、テープには反応するものの、この日は出てこず。
 
 続いて、ティンプーへ移動する途中でWallcreeper(カベバシリ)探し。スズメくらいの大きさの鳥で、長い嘴が特徴の灰色の鳥だが、この日初めてお目見えの普通種Grey-backed Shrike(チベットモズ)にBlue Rock Thrush(イソヒヨドリ)を見かけた程度で、こちらも今回は出現せず。どうも今日は鳥の出が芳しくない。
 
 最後にティンプー市内の入り口の下水処理場へ。ようやくここで念願のIbisbill(トキハシゲリ:写真右)2羽を比較的至近距離で観察できた他、カワガラス、アカツクシガモ、カワアイサなどに出会うことができた。
 
 夕方4時を回り、今日のバードウォッチングは時間切れ。少し物足りなさが残ったが、それでも充実した一日だった


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