ゲンティン高原とクアラセランゴール探鳥ツアー


2001年6月のゲンティン高原とクアラセランゴールの探鳥ツアーの報告です。
短期間でしたが、マレーシアらしい鳥が見られました。


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  かれこれマレーシアを離れて10ヶ月になる。その間、1月にツアーでランカウィ、キャメロン等を訪れたが、ゲンティン高原クアラセランゴールなど、馴染みの深い場所は前回ほとんど訪れることができなかった。

 今回のツアーには7名の方が参加することになったと聞いた。海外経験の豊富な方もいらっしゃるようだが、マレーシアは初めての方ばかりである。今回のコースは短期間で考えた場合、間違いなく最善のコースである。平地の森に比べると、標高の高いゲンティン高原やマングローブと二次林からなるクアラセランゴールは当たり外れが比較的少なく、短期間でも楽しめる。

 成田に勢ぞろいした方々と共にチェックインを済ませ、61番搭乗口へ。梅雨時ということもあってか、飛行機は雲をよけながら飛んだため、よく揺れた。KL着は10分遅れの19:10分(現地時間)。空港は先に着いた関空の便からの乗客などで混み合っていた。入国、荷物の受け取りにやや手間取り、空港の外へ出たのは20時を少し回ってから。ガイドのCH及び、先に到着されていた関空からの方と合流し、バスに乗り込む。

 KL市内の中華料理店で夕食をとり、ゲンティン高原にあるホテルへ。一般車だと45分で登る道もバスだと青息吐息で1時間半かかった。チェックインを済ませ、明日の集合時間を確認してめいめい部屋で休息。


 6月22日:ゲンティン高原

 朝6時にモーニングコールが鳴る。夜明けの遅いマレーシアではこの時間はまだ真っ暗。ヒメアマツバメの鋭い声だけが夜の闇に響き渡る。

 朝食はマレー風。久しぶりにこってり辛口のNasi Lemak食べる。果物で口直しをして、荷物をまとめ、出発。探鳥目的地のOld Pumphouse Roadへ着く頃には日が昇る。

 現地に到着していきなり、ベニサンショウクイ、セグロコゲラなどに会う。ゴシキドリ、アカフサゴシキドリなども葉陰から姿を見せる。オナガウタイチメドリやキビタイヒヨドリらが木の実をついばむ。

 マレーシアでは次から次へと鳥が現われては消える。久しぶりにマレーシアの森に触れると、熱帯林の鳥の動きの速さに慣れるのに少し時間がかかってしまった。わずか5ヶ月でも、感覚を忘れてしまうものらしい。

 サトウチョウやヒメオナガバトが上空を飛ぶが止まらず通過。立ち枯れの上にモモグロヒメハヤブサが止まる。幼鳥なのか、顔にも少しバフ色の羽が出、嘴もやや淡色。親鳥を探しているのか、時折、首をきょろきょろ動かす。

 ガビチョウらの声が聞こえ始めると、チャガシラガビチョウ、ルリハコバシチメドリ、マユグロチメドリ、ゴシキソウシチョウらが入れ替わり立ち代り出現。ゴシキソウシチョウの鮮やかな羽色に参加者一同歓声を上げる。

 この日の午前中はOld Pumphouse Roadをゆっくり歩くことになっていたが、繁殖期も後半に差し掛かっているためか、鳥の出はやや少ない。時折、Banded Leaf MonkeyやSpectacled Leaf Monkeyらが姿を見せる。

 チャガシラヤイロチョウ、ハシナガシャコら、希少性の高いものの声が聞こえるが、今回は姿はなし。

 午前中のハイライトはサイチョウ2種。ムジサイチョウは飛ぶところも止まっているところもじっくりと観察できた。一方のシワコブサイチョウは昼食後、駐車場の真上を通過した。昼食は中華料理。本場中国と比べて、マレーシアの中華料理はあっさりしていて、日本人の口に合うように感じる。

 昼食後、ホテルに戻って休憩。午後3時頃から探鳥を再開するが、小雨が降り出したので、雨を避けてOld Gombak Roadへ。ここでギンムネヒロハシ、クロバンケンモドキらを観察。天候があまり良くないため、羽色をはっきり観察できないのが残念。

 再び雨を避けて、Gentingへ。雨が上がったところで探鳥を再開。びしょぬれになったロクショウヒタキやヒヨドリ類が雨が止んだことを喜んでいるのか、次々姿を現わす。ギンムネヒロハシの家族が低木の陰でちらちら動く。巣立ち雛が羽を膨らませてじっとしているのが印象的だった。

 夕食はホテルに戻ってマレー料理。久しぶりに、レンダンなど、こってり辛口のマレー料理を味わった。


6月23日:ゲンティン高原 - セキンチャン - メラワティの丘

 前日と同じく、朝6時起床。朝食を済ませて、Old Pumphouse Roadへ。昨日とほぼ同様の鳥が出現。セグロコゲラは昨日と全く同じ木に一羽(前日は二羽)止まっていた。ズグロゴジュウカラが同じ木に止まる。

  ゲンティン高原を後にし、ゴンバック渓谷へ。アカエリエンビシキチョウが道路上に出てくる。ヒヨドリ類が次々に姿を見せる。ハシナガクモカリドリが上空を通過。長い嘴がはっきりと観察できた。ハイライトはオオヒメコノハドリと巣。マレーシアでは多くない鳥だ。オスは黄色の体に黒い頭をしている。クリイロヒメカッコウの幼鳥が木に止まる。成鳥の赤茶色の羽と違い、幼鳥は他のカッコウ類との差異を認めがたい。

 昼食をクアラルンプール市内で取り、クアラセランゴールrへ向かう。まだ暑いクアラセランゴール市内を通り抜け、バスの中から鳥を観察できるセキンチャンへ。ここでアオショウビン、カタグロトビを観察。セキンチャンはKL市内からもっとも近い水田地帯で、冬場にはシギ・チドリ類、ハジロクロハラアジサシなどが姿を見せる。田んぼはちょうど耕起中で、所々焼いているのが見える。焼き出された昆虫を探しているのか、アオショウビンもカタグロトビもいつもよりも多い。キムネコウヨウジャクは人家の庭先に6−7つほど巣をかけている。マレーシアでは珍しいモリツバメは電線に止まっていた。残念ながら、すぐに飛び去る。

 クアラセランゴール市内に戻り、メラワティの丘へ。シロハラウミワシがテレビ塔(?)の上で営巣をしている。巣立ち雛が二羽テレビ塔に止まっていて、時々親鳥を呼ぶ声がする。丘の上には開けた林があり、聞き慣れないゴシキドリの声。シロボシオオゴシキドリはすぐに見つかった。木の実がなっているためか、数羽が集まっているらしい。嘴を開けるのではなく、喉を膨らませて鳴く。もう一種、聞き慣れない声の正体はノドアカゴシキドリ。シロボシオオゴシキドリよりもずっと小さい。テレビアンテナの上にはナンヨウショウビン。

 Slivered Leaf Monkeyは人馴れしているのか、近寄っても逃げようとしない。オレンジ色の体毛を持った子連れのサルも何頭か見られた。観光に来たのか、白人の夫婦がサルにバナナを一房まるまる手渡す。おそらく、他の観光客も手渡したりしているのだろう。嵐山や箕面など、日本の結果を見ても、野生動物に餌を与えることは、ネガティブな結果を多々もたらす。

 夕食はクアラセランゴールの中華料理店でシーフードを食べる。その後、Kampong Kuantanの蛍を見物。幸い、満潮で蛍も沢山見ることが出来た。

 ホテルに戻って、ベットに入ろうかという時に、ガイドがメンフクロウを見つけたと呼びに来てくれる。暗闇の中、電線の上に真っ白な顔をしたメンフクロウが浮かび上がっている。10分程度観察した後、解散、就寝。後で聞くと、メンフクロウは夜鳴いていたらしい。

6月24日:クアラセランゴール自然公園 - ウル・ランガット

 6時起床、今朝も蒸し暑い。朝食を取らず、クアラセランゴール自然公園へ。公園の外でオオコノハズクが鳴くが、姿はなし。公園に入り、遊歩道に沿って歩く。ササゴイ、アオサギなどが出現。草薮ではアオハウチワドリやチャノドコバシタイヨウチョウが時折姿を見せる。コハゲコウは立ち枯れの上に止まっていた。周りにいるサギ類と比較すると、飛び抜けて大きい。英名のAdjutantというのは、まっすぐに立つところから由来してるそうだ。

 ガイドはマングローブヤイロチョウを一生懸命探してくれているが、声が数回聞かれたのみ。やはり見つけるのは難しい。この他、キバラタイヨウチョウなどが出現。

 朝食をとりにホテルに戻り、その後荷物をまとめ、移動。途中、Sungai Bulohのサービスエリアで軽い昼食。サービスエリアでシロハラクイナが出現。

 移動ルートを考え、コウモリダカのいるウル・ランガットを最終探鳥地に決定する。雨上がり後で非常に蒸し暑い。コウモリダカはあっさり見つかる。今年も無事に雛が巣立ったらしく、一羽幼鳥が巣の傍にいた。

 続いて森の中へ。森に入ってすぐガマヒロハシを見つける。続いて、ピクニックグラウンドのような場所でアズキヒロハシが出現。アズキヒロハシは巣立ち雛を連れている。胸や腹は成鳥のように小豆色になりきっていない。青い目と嘴が印象的。葉陰の中にひっそりとルリコノハドリが休んでいるのを見つけるが、こちらの様子に気づいたのか、すぐに飛び去る。今回はルリコノハドリの出が悪く、じっくりと落ち着いてみることはなかった。

 森の出口付近でヒメアゴヒゲヒヨドリが3羽ほど、木の実を食べている。時折ホバリングをまじえて器用に採餌している。参加者の一人が「変な鳥がいる」と言うので、双眼鏡を当ててみると、クビワヒロハシだった。胸のピンク色がいつ見ても印象的である。比較的至近距離で出現し、今回のツアーの最後を締めくくってくれた。

 大阪からの参加者を空港まで先に送り、その後、皆で夕食。3日間我々のガイドをして、沢山の鳥を見つけてくれたCHにお礼を述べ、空港へ戻る。

 今回は3日間で154種が出現。短期間だったため、ゆっくり見ることが出来なかった種や見逃した種もかなり多かったが、3日間という短い時間を考えれば、よく出た方と思われる。特に、ヒロハシ類は4種が出現し、今回の旅のハイライトだったと言えそうだ。

 25日、再び低気圧の影響で成田着は10分以上遅れ、7時を回った。簡単な挨拶を済ませて、参加者と別れ、羽田行きのバス乗り場へ急いだ。




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