マレーシアの山の鳥 |
マレーシアはかつて、イギリスの植民地でした。今でも英連邦が主催するCommonwealth Gameに参加するなど、イギリスと深いつながりを持っています。イギリスから統治にマレーシアに訪れた際、辟易したのがマレーシアの暑く湿った気候だといわれています。イギリス人たちは暑い平地を逃れるため、半島の尾根部に避暑地を作りました。マクスウェル・ヒル(Maxwell Hill)、フレーザーズ・ヒル(Fraser's Hill)、キャメロン高原(Cameron Highland)などです。 これらの高原地帯はバードウォッチングのメッカとしても知られています。特にフレーザーズ・ヒルでは毎年バードウォッチングの大会が開かれるほどで、世界中からバードウォッチャーが集まります。標高1000mほどのこの高原で見られるのは、キエリアオゲラ(Greater Yellownape)やヒメアオゲラ(Lesser Yellownape)のようなキツツキの仲間、「トッ、カッカラララ」と繰り返し鳴くのはゴシキドリ(Black-browed Barbet)。大型のアカフサゴシキドリは「ジーッ、ジーッ、ジジジジジ・・・」とセミのような声で鳴きます。 林縁部でひっそりとたたずんでいるのは、ズアカキヌバネドリ(Red-headed Trogon)。ハトくらいもある大きな鳥で、オスはほとんど全身真っ赤なのに、暗い森の中でじっとしていると、案外目立ちません。 高原地帯のハイライトはガビチョウ類などのチメドリの仲間です。眼の周囲が白いチャガシラガビチョウはマレーシアの高原ならどこでも普通に見られます。山地の代表的な鳥と言っても良いかもしれません。チャガシラガビチョウと同じくらいよく見かけるのはゴシキソウシチョウ(Silver-eared Mesia:写真)です。体全体が鮮やかな黄色をしていて、翼や腰の赤い、とてもカラフルな鳥です。チャガシラガビチョウはゴシキソウシチョウは他の鳥たちとバードウェーブを作ります。その中には、アオバネコバシチメドリ(Blue-winged Minla)、尾の長いオナガウタイチメドリ(Long-tailed Sibila)、大きな眼をしたマユグロチメドリ(Mountain Fulvetta)、黄色い体が特徴的なキガシラモリチメドリ(Golden Babbler)などのチメドリの仲間、更にはロクショウヒタキ(Verditer Flycatcher)やハジロマユヒタキ(Little Pied Flycatche)のようなヒタキの仲間や、ノドジロオウギビタキ(White-throated Fantai)といった鳥たちが入っています。平地よりも木の高さが低いため、時には目の前を沢山の鳥たちが通過していくという醍醐味が味わえます。 バードウェーブの中には、時々珍しい鳥も入ります。セアカチメドリ(Cutia:写真右)は木の幹に縦にとまり、そのまま上がったり下りたりすることができます。数は少ない鳥で、めったに見ることがないだけに、木の幹を登るこの鳥のシルエットを見つけたときには興奮すら覚えました。 熱帯地方は日本や中国のような、温帯で繁殖する鳥の越冬地になっています。シベリアや中国北部で繁殖し、日本に春や秋に通過するムギマキ(Mugimaki
Flycatcher:写真左)はマレーシアの低山地から山地の森で越冬します。大型のツグミの仲間マミジロは、日本の繁殖地と似たような、薄暗い森で越冬しています。こういう日本で顔なじみの鳥たちに出会ったときは、少し懐かしさを感じるものです。 |
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