ダナム・バレー探鳥記 4(その1)


ダナム・バレーの森も
とうとう4回目
今度こそヤイロチョウを!

マレーシアの鳥
 マレーシアのジャングルの鳥
 マレーシアの山の鳥
 マングローブの鳥
 マレーシア半島の探鳥案内
 マレーシア半島の野鳥報告
 ランカウィとキャメロン高原探鳥ツアー
 ゲンティン高原とクアラ・セランゴール探鳥ツアー
 ボルネオ(サバ州)での探鳥
 キナバル探鳥旅行 (2001年)
 キナバル山探鳥記 (2004年)
スカウ探鳥記
ダナムバレー探鳥記 1
ダナムバレー探鳥記 2
ダナムバレー探鳥記 3
ダナムバレー探鳥記 4
タビン探鳥記
フィールドノート・イン・ボルネオ
日本の鳥
オーストラリアの鳥
Photo Gallery
図鑑の書評
ンク集
真昼のダナム・バレー
 
セミしぐれとうだる暑さ
こういうときは昼寝が一番
© 2007 Koji TAGI



 

今回で早くも4回目となったダナム・バレー通い。相変わらず、狙いはヤイロチョウ類。「今度こそ」という期待と、「今度も見られへんのでは」という不安が交差しつつ、出発の朝を迎えた。

2005年6月10日 (Sapa Trail)

 Lahad Datu着7時50分。出迎えのBorneo Nature Toursのスタッフに荷物を預け、事務所で支払いを済ませた後、腹ごしらえに。Lahad Datuといえば、「香香板麺」に行かずにはおられない。「写真撮って!」と言う妻。前にも同じ洋服を着て、同じ椅子に座って写真を撮ったような・・・。

 Lahad Datu出発は9時。我々の他に若い日本人男性二人組とガイドのワンコンが同じ車に乗り込んだ。ワンコンが「今回は何を見たい?」と聞くので、「ヤイロチョウ!」と言うと、「今の季節はあまり雨が降らないので、さほど難しくないと思うよ」という返事。期待が持てそうだ。

 同行の二人連れの男性の片割れは車に乗ると早速居眠り。未舗装の荒れた道で、首を左右前後にガクガク揺らしながらもよく眠っている。舟を漕ぐとはよく言ったものだが、まるで荒海の中の小舟のようなものである。あれだけ首が振れていたら、起きた後にさぞ肩が凝っていることだろう。

 道中、真新しいアジアゾウの糞を多く目にする。「まだ真新しい」とワンコンが言うので期待していたが、結局姿を見ることは叶わず。

 Borneo Rainforest Lodge到着は11時半。「ウェルカム・ドリンク飲めるかなぁ」と聞く妻。マンゴーアレルギーで、前に発疹を出したのに懲りへんやっちゃ。「飲んでみたら」と言ったので、嬉々として飲んでいたが、後で「なんか赤いぽつぽつが出てきた」。歩く前やのに、大丈夫かいな・・・。

 今回もdeluxeルームにアップグレードを頼んでいたが、どういうわけかstandardの部屋になっていた。よく使われているためか、部屋の上に木の覆いがないためか、清潔感はこちらの方がある。「夜虫出なさそうだから、こっちでいいワ」と妻。日中、蒸し風呂のように暑いのはたまらなかったが、それでもまぁまぁ快適。

 午後3時、ロッジを出て川沿いに向かう。Sapa トレイルに入り、川沿いを歩き始める。

 「フィフィフィフィフィ」という声と共に姿を現したのはカワリサンコウチョウ。「一反木綿や!」と呟く妻。そんな変なもんとちゃう!久しぶりのジャングルが嬉しいのか、妻は落ちている赤い木の実を拾ってしげしげ眺めている。ワンコンが「これは食べられるよ」というので、二人で齧ってみるとすっぱくてちょっと渋い味がした。

 ダナム・バレーにしては珍しいくらいの晴天で、空にはBlack Eagle(カザノワシ)が飛んでいる。歩き始めて数分、橋の手前でワンコンが立ち止まった。高さ5mくらいのところを素早く移動する小鳥を指差し、"Pygmy White-eye(コビトメジロ)"と教えてくれた。距離がそこそこあるためか、灰褐色の地味な小鳥にしか見えない。言われてみると、他に当てはまる鳥がいないような・・・。

 「3日間雨が降ってない」とロッジのガイドが話していたように、森の中は乾燥していて、いつものまとわりつくような湿気は感じられない。相変わらず、本物と間違うほどの口笛で鳥を呼ぶワンコンは昼間見せたリストから、見られる可能性の高い鳥を選んで鳴き真似をしている。「チュゥ、チュゥ、チュゥ、チュゥ・・・」というRed-naped Trogon(アカエリキヌバネドリ)や「フィー、フィー、フィイーッ」というGiant Pitta(オニヤイロチョウ)等、見事なものだ。

 突然、ワンコンが立ち止まって、「フィーオー、フィーオー」という鳴き真似を始めた。Bornean Bristlehead(ブタゲモズ)がいるらしい。
すぐに口笛に反応して、ブタゲモズたちが鳴き始めた。いつものことながら、茂った木を下から見上げて探すのはかなり難しい。声はすれども、一向に姿は見えない。10分くらい探した後、ワンコンが「あそこだ」と囁いた先に赤い頭のブタゲモズが一羽、木の枝に座っていた。前回10月に見たときよりも光線条件が良く、目の周りの黒い斑点も頭頂の黄色い羽もよく見えた。

 ブタゲモズを見た興奮がさめやらぬまましばらく歩いていると、またワンコンが立ち止まった。アカエリキヌバネドリの鳴き真似をし始めたワンコン。深緑色の木々の間に見える赤に双眼鏡を合わせてみると、なんとアカエリキヌバネドリのオスだ。ワンコンの鳴き真似に反応したらしい。1、2分枝に止まっていたが、そのうち飛び立って林内に消えてしまった。少し進み、再び枝先に止まるキヌバネドリを見つける。ようやく、赤いえりと目の周りの青い裸出部がよく見えた。ビデオを回して撮影するが、ずっと後ろを向いていて、なんだか間抜けな姿。

 キャノピーウォークにしばし立ち寄った後、ロッジへ戻る道中、オランウータンの親子に遭遇する。ドリアンの木で青い実を黙々と食べている。オランウータンが剥いて、下に落ちたドリアンの皮には、硬い棘が無数に生えていた。こんな硬い皮を剥くんだから、かなりの怪力なのだろう。

 部屋に戻る途中、空を見上げると、日中カザノワシが飛んでいたあたりで、Blyth's Hawk-Eagle(カオグロクマタカ)にWallace's Hawk-Eagle(ウォーレスクマタカ)がモビングをかけていた。2種のクマタカが一度に見られるなんて、ちょっと贅沢。

 今日は客が多く、いつになくビュッフェのメニューが多い。Sago Gula Melakaを見つけて、甘いものが好きな妻はご機嫌だ。「いつもDanumに来ると食べ過ぎちゃうのよね」。確かに腹が減るから、ついつい食べ過ぎてしまうんだよなぁ。

 晩御飯を食べた後、久しぶりにnight driveに参加することにする。

 車に乗り込む前にトイレに入った妻が「ヒェェェッ」と情けない声を上げた。「ヤモリが背中に引っ付いた」。えらい騒ぎやナ。

 ナイトドライブはトマスクロムササビ、サンバーのオス、ジャワマメジカが1頭ずつ姿を見せたくらいで、フクロウ類はなし。真っ暗なジャングルの夜空に光る星が一番印象的だった。

2005年6月11日 (Hornbill Trail, Sapa Trail - Segama Trail)

 朝から晴天。今日も暑くなりそうだ。

 6時15分から探鳥を開始。道路沿いで早速カオグロクマタカを見つける。Sapa Bebandilトレイルの入り口付近では、聞きなれない声。ワンコンが「Banded Kingfisher(カザリショウビン)だ」と教えてくれる。樹高50mはありそうな高木のどこで鳴いているのか、さっぱり姿が見えない。15分粘ったが、結局見つからなかった。

 朝食後、以前から良い鳥を見ているHornbillトレイルから入る。セルフ・ガイド・ウォークから川沿いに出たところでワンコンが立ち止まる。「スースースースー」と尻下がりに聞こえる、高く、か細い声の主はLarge-billed Blue Flycatcher(クロアゴヒメアオヒタキ)なのだそうだ。あいにく、この時には姿は見られなかった。

 森の中ではチメドリたちが賑やかに鳴き交わしている。ワンコンが散々口笛を吹いても、肝心のヤイロチョウたちは反応しない。うーん、今回もダメか!?

 トレイルを出て、キャノピーウォークでしばし休憩。暑いばかりで鳥がいない。10時過ぎに聞こえ始めたGarnet Pittaムラサキヤイロチョウ)の声を追って、森の中に入ることにする。声は谷から響いてくる。さすがというべきか、茂った藪こぎなのに、ワンコンの歩みは素早い。ほんの目の前で鳴いているにもかかわらず、姿が見えない。少し疲れの出ていた妻はここで足を痛めてしまった。滞在はまだ半分以上も残っているのに、この先どうなることやら・・・。

 足の関節を軽く捻挫したらしい妻が「退屈!」とこぼすのを「寝てなしゃーないやン」となだめ、午後は一人で出かける。「どうかオニヤイロチョウが見られませんように」と妻。自分が見たいからとはいえ、なんちゅう祈りや・・・。

 赤い橋を渡って、川沿いのSegamaトレイルに入る。10分ほど歩いて、ワンコンが口笛を吹き始める。最初に出てきたのは、Large-billed Blue-Flycatcher(クロアゴヒメアオヒタキ)のオスだ。喉から下は一様にオレンジ色で、近似種のボルネオヒメアオヒタキやマレーヒメアオヒタキと異なる。嘴がやや長く、コシアカシキチョウの顔つきに少し似る。一声、二声鳴いた後、森の中に消えていった。

 しばらく歩き、今度はSpotted Fantail(シロボシオウギビタキ)が登場。オウギビタキにしては行動が地味な鳥だ。

 さらに10分ほど歩くと、「フィーッ、フィーッ、フィイーッ」という大きな声が聞えてきた。探しているGiant Pitta(オニヤイロチョウ)の声だ。トレイルをそれて、藪の中に入っていく。藪の中で腰を屈めていると、10mくらい先で何かが跳ねた。双眼鏡を当てると、Blue-headed Pitta(ズアオヤイロチョウ)のメスだった。うーん、ヤイロチョウやから嬉しいねんけど、探しているものと違うので、不思議な心境・・・。さらに大木の根元が見えるところまでやってくる。時々ワンコンの口笛に反応するが、5分に1回くらいしか鳴かない。ワンコンが「あそこになんかいる!」というので、今度こそと思い双眼鏡で見るとまたしてもズアオヤイロチョウのメス。うーん、どう言って良いやら。

 しばらくして、「あそこ、あそこ!」とワンコンが呟く方向に眼をやったが、ついに見られなかった。ワンコンはメスがヒナに餌をやるために走り回っている姿をちらっと見たらしい。後になって思い起こせば、日程中最も見られる可能性がある時だったように思うが、妻の祈り(?)が通じたのだろうか。

 その後、大きな収穫もなく、ロッジまで戻ってみると、足が痛いはずの妻がロッジの入り口まで降りてきていた。少し寝たら、足の調子が良くなったらしい。しばらく嬉しがって歩き回っていたせいで、またしても足が痛くなってきたらしい。学習せーへんやっちゃ・・・。

 「退屈だから、ナイトドライブに行く」と言っていた妻だったが、食事をして休んでいるうちに眠くなってきたらしい。妻の足を休ませる意味でもこの日の夜はキャンセルした。


後半戦もいつになく充実、ダナムバレー探鳥記4の続きへ



マレーシアの鳥 キナバル山探鳥記(2005年)
マレーシアのジャングルの鳥 スカウ探鳥記
マレーシアの山の鳥 ダナム・バレー探鳥記1
マングローブの鳥 ダナム・バレー探鳥記2
マレーシア半島の探鳥案内 ダナム・バレー探鳥記3
マレー半島の野鳥報告 ダナム・バレー探鳥記4
ランカウィとキャメロン高原探鳥ツアー タビン探鳥記
ゲンティン高原とクアラセランゴール探鳥ツアー ボルネオでの探鳥
キナバル探鳥旅行(2001年) フィールドノート・イン・ボルネオ

マレーシアの鳥のページへ Menuへ
inserted by FC2 system