ランカウィとキャメロン高原探鳥ツアー


青い砂浜と静かなビーチが印象的なリゾート、ランカウィも、
ロングスティで脚光を浴びるキャメロン高原も、
どちらもマレーシア有数のバードウォッチングサイトです。
水着やゴルフバックだけじゃなく、双眼鏡も持って行きましょう!

マレーシアの鳥
 マレーシアのジャングルの鳥
 マレーシアの山の鳥
 マングローブの鳥
 マレーシア半島の探鳥案内
 マレーシア半島の野鳥報告
 ランカウィとキャメロン高原探鳥ツアー
 ゲンティン高原とクアラ・セランゴール探鳥ツアー
 ボルネオ(サバ州)での探鳥
 キナバル探鳥旅行 (2001年)
 キナバル山探鳥記 (2004年)
スカウ探鳥記
ダナムバレー探鳥記 1
ダナムバレー探鳥記 2
ダナムバレー探鳥記 3
ダナムバレー探鳥記 4
タビン探鳥記
フィールドノート・イン・ボルネオ
日本の鳥
オーストラリアの鳥
Photo Gallery
図鑑の書評
ンク集
どこまでも青い空、透き通った海、そして聞こえるのは潮騒だけ。
ランカウィには、日本の海がなくしたものがあります。
© 2006 Koji TAGI


 1998年から二年もマレーシアに勤務していたのだが、ランカウィにはこれまでまったく縁がなかった。トランジットの際、眼下に見える青い海と、小さな空港が私のランカウィ島のこれまでの印象のすべてだった。そんな私がツアーガイドとしてランカウィ島を訪れることになった。リゾートとして有名なランカウィ島だが、実は隠れたバードウォッチングの名所らしい。そうこうしているうちに出発の日が近づく。荷物を用意し、いざ成田へ。


2001年1月13日 成田 - KL - ランカウィ


ツアー初日。成田の団体受付カウンターで今回の参加者であるMご夫妻と待ち合わせ。ご夫妻はこれまで新和のツアーに数回ご参加されているという。お仕事の関係上、旅行慣れなさっているご様子。

 午前10時30分、マレーシア航空89便にて成田出発。機内は9割の搭乗。空席がほとんどない。となりは新婚なのか、マレーシア航空からアンケートの依頼を受けていた。前日、あまり眠れなかったが、一向に眠くならないので、映画3本を立て続けに見る。暇つぶしにはB−777は悪くない。座席が硬いのと、狭いのには閉口するが・・・。
 見た映画は"Autumn In New York", "Perfect Storm", 「スペース・トラベラーズ」。最後のみ邦画。"Autumn In New York"はウィノナ・ライダーとリチャード・ギアによる恋愛もの。リチャード・ギアはこういう役回りが多い。女性がウィノナ・ライダーだから見られた映画だなという印象。ストーリーは口にしてしまうと陳腐になるのでやめておこう。"Perfect Storm"はこんな映画をよくも2時間もの長巻にしたもんだというのが第一印象。ジョージ・クルーニーに判断ミスで自分も船員も死に追いやってしまう船長の役は妙に似合っていた。劇場で見ないと見られない映画。「スペース・トラベラーズ」は最近の典型的な日本映画の印象。淡々としている。少し、ユーモアのエッセンスも入れているつもりらしいが、笑えない。こういうワンパターンな映画を作っているうちは日本映画の将来は明るくなさそうだ。

 17:05、KL着。メインターミナルへ戻って、入国手続き。トランジット用の入国はエアロトレイン脇のエスカレーターを降りたところで行う。入国後、乗り継ぎまで1時間以上待ち時間。喉が渇いたので、一軒だけあった店へ行くと、これがやたらに高い。ジュース1杯5RMは高すぎないか。前に並んでいた日本人のグループがビール4本とミーゴレンとカレーで4000円と要求されて不信な顔をしていた。空港の中であろうと、マレーシア人の商売のやり方は変わらないらしい。「税別なら税別とボードに明示しないと、不信に思われる」と皮肉を言ってやったが、"Thank you, sir"と一言。通じたのやら。

 19:40、ランカウィ着。ほんの1時間のフライト。電気系統の故障なのか、ハッチが開かない。せっかちの日本人旅行客たちが騒いでいる。20分程度待たされてようやく降機。荷物を受け取り、空港の外へ。独特の湿気が少し懐かしくもある。
 ガイドのCHは外でレンタカーを借りて待っていてくれた。互いの自己紹介を終え、まずは夕食。ホテルに行く途中のレストランで食事。店の親父が上客と思ったのか、やたらにイセエビを勧める。CHがだいぶ粘ってかなり値切ったらしい。初日の晩からイセエビが食卓にあがることになった。

 食後、10分ほどでホテルに到着。チェックインを済ませ、明朝7時からの探鳥開始を確認し、入室。蚊に悩まされながら、初日の夜が更けていった。


1月14日 ランカウィ


7:00、ホテルロビーにて待ち合わせ。まだ夜明けまで間がありそう。

7:20、薄暗いが探鳥開始。Puff-throated Babbler, Striped Tit-babblerの声がこだまする。赤い花にBrown-throated Sunbird, Crimson Sunbirdが来る。さらに少し離れた木にPURPLE-THROATED SUNBIRDが。朝なので、ほとんど黒くしか見えないが、それでも頭の濃い緑、腹の赤が光って美しい。しばらく歩いて、大木のてっぺんにLARGE GREEN PIGEONを見つける。続いてThick-billed Green Pigeonも。Large Green Pigeonはオスの胸のオレンジが印象的。案外首が長く、Thick-billedほどずんぐりとした印象は受けない。Thick-billedがアオバトに似た声で鳴くのに対し、「グル、グル」と聞こえるような特有の唸り声で鳴くのが印象的だった。
 ハトたちが憩う木の傍で、枯れ木に止まるSTREAK-BREASTED WOODPECKERを見つける。なかなか胸が見えず、識別にやや苦労。頭頂部の赤がむしろオレンジがかっていて、近似種のLaced Woodpeckerよりも美しい。
 その他ではAshy Minivet, Asian Fairy Bluebird, Inornate Warbler, Orange-bellied Flowerpeckerなど。小鳥の種類が少なく、このような環境なら沢山見かけるヒヨドリ類もほとんど居ないし、Barbetすら居ない。本土から40km弱しか離れていないのに、本土に普通の鳥の多くが居ない。KLではどこでも目にするOriental Magpie Robinすらいないのには驚かされた。目立ったのはブッポウソウ。枯れ木の上ならたいていどこにでも止まっていた。

 朝食を食べにホテルへ。バイキング形式で、Nasi Lemakなどを食べる。食後、ホテルの裏でCHESTNUT-HEADED BEE-EATER, Collared Kingfisherなどを見かける。一旦休憩を取り、今度はGunung Rayaへ。島の最高峰で881mある。ここへ入るには50セン払い、ゲートをくぐる。山頂へ行く途中、Wreathed Hornbillが上空を飛ぶ。羽音が間近に聞こえるほどの近距離だ。近くの電線にはBlue-tailed Bee-eater。山頂までの間にサシバ、アカモズが出る。アカモズは2個体電線に並んで止まっていたが、羽色が全く異なる。亜種間の相違であろう。(おそらく、亜種confusus:褐色のものと亜種lucionensis:灰褐色のもの。)山頂ではCrimson Sunbird, Grey-faced Buzzard, Red-rumped Swallowなど。眺望が良く、島の南側のほとんどや遠くの島々まで見える。山頂にある軽食堂で食事。車に戻ろうとすると眼の前の木にGreat Hornbillが飛来。わずか10mほどの距離に止まる。全長1.2mの巨鳥が目の前に。下山途中、高さ30mくらいある枯れ木に小さな緑色の小鳥を発見。車を寄せて降りて見ると、なんとこれがASIAN EMERALD CUCKOO。上面はエメラルドグリーンで光沢があり、光線加減で青っぽくも光る。嘴は黄色で、先端がやや黒ずむ。胸から腹にかけては灰黒色の横縞模様。頭は換羽中らしく、頭頂は緑色に変わっていたが、眼の周囲には赤いアイリングがあり、オスとメスの中間のような羽色だった。おそらくオスの若い個体で換羽途中なのだろう。

 ホテルで再び休憩。コテージの傍のfigにOriental Pied Hornbillが来ている。これは目の前で見られた。Orange-bellied Flowerpeckerが何羽か集まっていて、figを嘴で器用に割って中身を食べている。Inornate Warblerの「チーィ」という声をあちこちで聞く。半島南部と異なり、ここでは著しく普通種らしい。その後もこのfigではいろんな鳥が出現した。

 休憩後、夕方空港脇の水田地帯へ。水牛が水浴びをするゆったりとした景色が印象的。Plain-backed Sparrowをレストランの横で探すもハズす。大きな水路でタカブシギ、イソシギ、オオヨシキリなど。オオトカゲがゆっくりと泳いでいる。道路反対側の水田でRed-wattled Lapwing, Pintail Snipe。Chestnut Muniaが数羽飛ぶ。ゴーカート場の傍でPLAIN-BACKED SPARROW3ペア。メスは限りなく地味なスズメだが、オスの背面は赤茶色で鮮やか。オスの方がやや大きい。

 雨が降ってきてお開き。日本語を喋るオーナーのいる中華料理店でディナー。前日の教訓で、あらかじめ蚊を5匹殺してから眠った。


 1月15日 ランカウィ


 今日はやや雲が多い。南西部にある滝の傍から探鳥を開始。駐車場に車を止め、Spectacled Leaf Monkeyを見ていると、サイチョウ3種が次々に飛ぶ。特にGreat Hornbillは多く13羽飛んだ。近くに実のなっている木があったらしい。狙いはGreat Slaty Woodpeckerだったが、はずす。小雨も降り出し、ホテルへ戻ることにする。道中、Forest Wagtail, Chestnut-breasted Malkoha, Black-headed Bulbulなどが出る。

 一旦ホテルに戻り、朝食&休憩。ホテルのビーチ傍で、Chestnut-headed Bee-eater, Collared Kingfisherに続いて、BROWN-WINGED KINGFISHERを見つける。M夫妻とCHに知らせる途中、figの実のなる木に立ち寄ると、ここではORANGE-BREASTED GREEN PIGEONを見つける。ハトの方は一旦飛ぶが、CHが素晴らしい観察力で見つけて、望遠鏡に入れて見てもらう。

 昼前にホテルを出発。マングローブ林の中にあるBarn Thaiで昼食。著名人がたびたび訪れるらしい。M首相の写真が入り口にあった他、谷村新司氏の写真が。現地のマレー人とあまり大差のない印象には二度驚かされた。
カニクイザルがいるが、鳥の方は今ひとつ。ホテル脇でPurple-throated Sunbirdを見つけたのみ。黄緑色の光沢のある小型のフグ、テッポウウオ(本当に水中から水を飛ばしていた)、swordfish(カジキではない)と呼ばれる小型の細長い魚、青や赤の色鮮やかなカニを見て楽しんだ。

 陽気で人の良いCHはドリアンが売っているのを見かけると、「ドリアーン、my favorite fruitね」と叫ぶし、hornbillを見つけては、「サイチョウぉ、ね!」と叫んでいる。長年新和のツアーの案内をしているせいか、妙な日本語ばかり覚えている。彼の知っている日本語は、クルマ、トンダ、シキチョウ、アオショウビンなどなど。一般的にはあまり役に立ちそうもない。トンダとは、飛んだのこと。鳥を見ている人が、鳥が飛ぶと、「あっ、飛んだ、飛んだ」というので、覚えたらしい。誰かが、「飛んだ」と呟くと、「アッ、トンダ?トンダネー」と口にする。彼いわく、日本人は台湾人よりもよほど案内しやすいという。台湾人は時間どおりに集まらないし、レストランでも口々に勝手にオーダーするからだそうだ。

 「今日モサイチョウネー」というCHの声を聴きながら、Gunung Rayaへ。山頂へ行くまでにWreathed Hornbillのメスを見つける。嘴のしわの数で年齢が分かるという。山頂は今日はハズれ。下山途中に「この辺で飛ばないかな」と車を止めたら、まさに前方からGreat Hornbillが。これまた目の前10m弱のところに止まる。警戒心が薄いのか・・・。少し高いところにはWreathed Hornbillのペア。さらに、山頂側からもう一羽のGreat Hornbillが来て、先に来ていた個体を追い出す。Great Hornbillはいずれもオス。昨日見た個体もオスだったのだが、どうやら繁殖期に入っているらしい。メスは繁殖期には木のうろに篭り、抱卵中はオスが与える餌を食べるという。
サイチョウを満喫して下山。ゲート近くでMountain Hawk-eagleが飛ぶ。大きさだけでも十分に本種と分かる。マレーシアでは昨年のランカウィの記録に続いて2例目ではないか。普段バーダーが入らないので、あまり鳥相について知られていないのであろう。Brown Needletailの群れに混じって、WHITE-VENTED NEEDLETAILが出現。

時間があったので、夕方さらに探鳥。Purple-throated SunbirdとCrimson Sunbirdが夕方の柔らかい光線を浴びて美しい。日没直前にようやくHill Mynaをまともな条件で観察。Changeable Hawk-eagleが出て終わり。

夕食はホテル近くの新しいレストランへ。食事がカジュアルな割に入場料を取ったりと変だと思ったら、元々はジョディ・ホスター主演のタイ王子との恋愛を描いた映画の撮影に作られたものだったらしい。


 1月16日 ランカウィ - ペナン島 - タイピン - イポー - タパー - タナーラタ (キャメロン高原)


 

移動日。ホテル裏で探鳥。

 明け方、アオバズクが数声だけ鳴く。「ウゥップ」と聞こえる声は日本のものと全く異なる。

Oriental Pied Hornbill, Hill Mynaがfigに集まる。Mangroveの傍でBrown-winged Kingfisherが出現。数羽いるところを見ると、よほど本種には良い環境だったらしい。他にカワセミが飛ぶ。Black-naped Orioleに混じって、妙なコウライウグイスが一羽。鮮やかな黄色でオスのコウライウグイスらしいが、やや小ぶりで尾が短め。翼が全体的に黒く、小雨覆にわずかに黄色い斑がある程度。頭は全体的に黄色で、目の周りが細長くわずかに黄色い。分布からは考えにくいが、European Golden Orioleのオスと一致する。それとも、Black-hooded Orioleの亜種なのか・・・。ランカウィ最後にBlack-capped Kingfisherが出て締める。

 Langkawi発11:35、Penangまではわずか30分ほど。レンタカーでCameron Highlandを目指す。Langkawiで借りた車は後部座席のドアのひとつが内側から開かなかったが、今回は大丈夫らしい。Penang島はマレーシアでも最も地価の高いところだという。KLやJohorよりも高いというのだから、かなりのものだろう。Penang大橋は以前は世界で一番長い橋だったという。なんでも一番の好きな某首相の顔がすぐに思い浮かぶ。高速に入り、サービスエリアで休憩。昼食を取り、4時前にTapahを通過。トイレ休憩の後、登りにかかる。Orang Asliたちが豆、ドリアン、マンゴスチンなどを路肩で売っている。
 途中、Black Eagle, Grey-rumped Treeswiftを見る。Black Eagleの雄大な飛翔が印象的。

 Cameronはやはり曇り。ここですっきり晴れたという記憶がない。Tanah Rataで車を止め、ウォーキング・トレイルへ入る。沢沿いでSlaty-backed Forktail, Large Niltava, Silver-eared Mesia, Fire-tufted Barbetを見てお開き。Steam Boatのディナー。CHがよせば良いのに、通りがかりのオランダ人風夫婦をレストランに呼び込む。後で見ると、調子に乗って入った夫婦がSteam Boatを不思議そうな顔をしてつついていた。

旅は後半、キャメロン高原編へ。



マレーシアの鳥 キナバル山探鳥記(2005年)
マレーシアのジャングルの鳥 スカウ探鳥記
マレーシアの山の鳥 ダナム・バレー探鳥記1
マングローブの鳥 ダナム・バレー探鳥記2
マレーシア半島の探鳥案内 ダナム・バレー探鳥記3
マレー半島の野鳥報告 ダナム・バレー探鳥記4
ランカウィとキャメロン高原探鳥ツアー タビン探鳥記
ゲンティン高原とクアラセランゴール探鳥ツアー ボルネオでの探鳥
キナバル探鳥旅行(2001年) フィールドノート・イン・ボルネオ

マレーシアの鳥のページへ Menuへ
inserted by FC2 system