マレーシアのジャングルの鳥


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ゴンバック渓谷の朝 © 2000 Koji TAGI

 

マレーシアのジャングルで鳥を見るのに必要なことは、

  • 早起きできる体力
  • 物音を聞き分ける耳
  • 葉陰でも動きを見つける眼、そして
  • 声がしても見えないのをじっと待てる根気と、
  • 50mもの高さの木を真下から見上げるのに耐えうる強靭な首?(どんなんやねん・・・)

といえます。

 平地のジャングルで鳥を見るのはそれだけ骨が折れます。でも、それに見合った楽しみがあるとも言えます。


 平地のジャングルの鳥の多くは朝、夜明けから数時間の間、活発に活動します。この時間帯に行けば、ほんの数時間で40種、50種という鳥が観察できます。写真の鳥、ヒイロサンショウクイ(Scarlet Minivet)も、朝であれば、かなりの確率でお目にかかることができます。また、平地とはいえ、さすがに森ですから、朝は比較的涼しい時間帯で、汗をかかずに鳥を見られます。

 ジャングルの鳥の中には、コノハドリやヒヨドリの仲間のように、他の鳥とグループを作って、餌を探しながら移動する鳥が多くいます。このような群れの中には、数種類から時には数十種類もの鳥が混ざっています。遠くから鳥の声が聞こえてきたかと思うと、にぎやかな声と共に数10羽の鳥が一斉に目の前を通り過ぎていくことがあります。このような現象をバード・ウェーブ(bird wave)と呼んでいます。波が押すように一斉に鳥がやってきて、波が引くように急速に去っていくからでしょうか。

 バードウェーブにかちあたったら、図鑑はさておき、まずは出来るだけ沢山の鳥を見てみましょう。識別は後でできるはず。樹冠部を鳴きながら飛び交っているのは、ヒイロサンショウクイ、コベニサンショウクイ(Fiery Minivet)、ヒタキサンショウクイ(Bar-winged Flycatcher-shrike)。ヒヨドリやアオバネコノハドリ(Blue-winged Leafbird)木の高層部で葉陰から葉陰に移動していきます。時折、大きな緑色の影が横切ることがあります。赤や黄色に染め分けられたキホオゴシキドリ(Gold-whiskered Barbet)の鮮やかな顔が印象に残ることでしょう。

 木のてっぺん近くから、滑るように隣の木へ移動するのはバンケンモドキ(malkoha)の仲間。よく姿を見るのは、赤茶色のクリイロバンケンモドキと眼の周りが赤いチャムネバンケンモドキ(写真)。大きな体のわりに臆病で、気が付くとどこからともなくやってきていて、いつの間にかいなくなっているような鳥です。バンケンモドキは東南アジアからインドやパキスタンに分布している鳥のグループで、カッコウの仲間です。

 バンケンモドキも含め、マレーシアにはカッコウの仲間が沢山住んでいます。全身真っ黒のオウチュウカッコウ(Drongo Cuckoo)、オスの頭から背中がエメラルドグリーンのミドリテリカッコウ(Emerald Cuckoo)、ミドリテリカッコウをそのまま紫にしたスミレテリカッコウ(Violet Cuckoo)など・・・。なかなか姿が見られないのが残念ですが。

 バードウェーブの中で、ずんぐりとした小さな鳥を見つけたら、注意して見てください。クビワヒロハシ(Black-and-yellow Broadbill: トップページ参照)やアズキヒロハシ(Banded Broadbill)かもしれません。大きな頭、平べったい嘴、短い尾に丸っこい体型。鳥という感じのしない、ちょっと不思議な風貌をしています。普段は大きな声で「ヒョォ、ヒョォ、ヒョォ、ヒョヒョヒョヒョ・・・」と鳴くクビワヒロハシは、バードウェーブの中では案外静かにしていることが多いようです。

 バードウェーブにはキツツキも混じります。動きが違うので、キツツキだというのはすぐに見分けられます。ただ、マレーシアには20種以上のキツツキが生息しており、中には相互に似通った種類もあります。カンムリコゲラ(Grey-and-Buff Woodpecker: 写真)は大きな頭と冠に対して、不釣合いなほどに短い尾を持っているスズメほどの大きさの小さなキツツキです。バランスの悪い体型で印象的な鳥かもしれません。この他にも、カラスよりも大きな灰色ををしたボウシゲラ(Great Slaty Woodpecker)、日本では絶滅してしまった黒い体に白いお腹。赤いトサカ状の冠羽が目立つキタタキ(White-bellied Woodpecker)、赤い翼が印象的なモリアオゲラ(Crimson-winged Woodpecker)、一見沖縄の珍鳥ノグチゲラを思い起こさせるエビチャゲラ(Maroon Woodpecker)、スズメよりも小さく、10cmを切る大きさのマレーミツユビコゲラ(Rufous Piculet)などなど。

 バードウェーブ以外にも眼を向けてみましょう。ジャングルを流れる川にはたいてい何か鳥が住んでいます。セキレイのように、尾を上下に振るエンビシキチョウ(forktail)の仲間は石のある川でよく見られます。彼らは警戒心は強く、人の気配に気づくと、すぐに大きな声を出して飛んでしまいます。森の奥から、単調な声で、「チュウッ、チュウッ、チュウッ、チュウッ・・・」という声が聞こえたら、そっと近寄ってみましょう。コシアカキヌバネドリ(Scarlet-rumped Trogon:写真)やバラエリキヌバネドリ(Diard's Trogon)かもしれません。真っ赤な体をしていて、すぐに見つかりそうなキヌバネドリたちですが、じっと止まって茶色い部分の多い背中を向けていると、意外と見つけにくいものです。それだけに、森の中で彼らに遭遇したときの喜びは格別のものになります。

 このように、平地のジャングルの森には非常に沢山の種類の野鳥が住んでいます。私はクアラルンプール郊外にあるゴンバック渓谷(Gombak Valley)に2年間で20回以上通いました。普通それだけ行くと、見られる種が分かってくるのですが、行っても行っても新しい鳥が見られる不思議な場所でした。それだけ平地のジャングルには多くの鳥が生息し、多くの種類の野鳥を養っていける多様な自然があるといえます。




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