タイ北部ドイ・インタノン探鳥記2

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タカサゴミソサザイ © 2012 Koji TAGI

 ドイ・インタノンを訪れたのは、今から約6年前。当時はまだ仕事でマレーシアに住んでおり、ヒマラヤ系の冬鳥に期待して訪問したのを思い出す。ドイ・インタノンは標高2,565mのタイ最高峰で、寒さを体感しに、多くの観光客が訪れる。前回訪問したのは12月上旬だったが、寒さを体感しに早朝から多くの観光客が山頂に来ていた。

 今回は前回3日間費やしたほどの余裕はなく、仕事の空き時間を利用してわずか1日半の訪問だったため、どうしてもガイドが必要となった。限られた準備時間の中で、バードウォッチングツアーを行っている数社に連絡を取ったが、回答があったのは1社のみ。ということで、Thailand Bird Watchingに1.5日間の手配を依頼。対応は早く、すぐに回答が来て、6,000バーツ x 2日 = 12,000バーツ(約33,000円)でガイド料、ガソリン代、食事代込みとのこと。前回依頼したNature Trailsは1日あたり約20,000円を超えていたので、相場よりも少し安い。いささか手配に不安を感じたが、12日朝5:00に来てもらうことを確認し、いつもと同様、見たい野鳥のリストを送った。

2012年3月12日 ドイ・インタノン

 チェンマイには前日の11日夜に到着。前回は郊外のホテルに泊まったため、気がつかなかったが、毎晩のようにナイトマーケットがあり、人口が約27万人(2010年)の割には街の規模は大きく、繁華街は賑やかだ。ナイトマーケットの入り口には、なぜかゲイがリオのカーニバルのような格好で立って勧誘しているが、売っているものはお決まりのバッタものばかりで盛り上がりに欠ける。今更、バッタものばかりで観光客をだまそうというのも、古い手口だ。

 早朝5時、前夜の賑やかさが嘘のように静まり返ったホテルの前に、時間通りにガイドのSomchartがパジェロに乗ってやってきた。昔某番組に出ていた、○山■也議員と、映画「ブッシュマン」のニカウさんを足して2で割ったような風貌のオジサンである。Somchartは直接運転せず、ドライバーが同乗しており、3人でチェンマイの街を後にした。

 ドイ・インタノンまでは車で約1時間半。Somchartから、「途中でもう一人客が参加するが、良いか」と聞かれるが、「ダメ」とは言えないもんなぁ。とはいえ、もう一人いるということはあらかじめ伝えておいて欲しかった。

 Somchartもドライバー君も、ドイ・インタノン国立公園近く出身のカレン族なのだそうだ。Somchartは普段は農業を営んでいるらしいが、冬場のバードウォッチングの盛んな時期にはガイドをしているとのこと。

 ドイ・インタノンの国立公園事務所を6時過ぎに通過。まだ薄暗いゲートを通り抜け、バードウォッチャーが集まるという、Mr. Daeng’s Cafeで朝食。バードウォッチャーが集まる宿だけに、色々な鳥の写真が飾ってある。なかには、憧れの鳥、Purple Cochoa(ムラサキミヤマツグミ)のオスの写真まで飾られていた。誰がどこで撮った写真なんだろう。画質は良くないが、オスの写真は初めて見た。


 ここで、もう一人の参加者という、アメリカ人の某氏(名前は忘れた)が参加。自分で車を用意しているとのことで、後ろから運転してついて来るという。朝食の焼き飯を食べた後、目指すは最初の探鳥ポイント、チェックポイント2だ。チェックポイント2は国立公園の2か所目のゲートのことで、雨霧林が広がる。アメリカ人の某氏は、「前日はほとんど鳥がいなかった」と言っていたが、確かに鳥の声が少ない。前回訪問した時には、ゲートのそばの電線に長く止まっていたLarge Niltava(オオアオヒタキ)も、今日は声しかしない。Somchartはテープを流して、さっそくミヤマツグミ探し。ここチェックポイント2は2種のミヤマツグミがよく見られるポイントとして知られ、特に2−4月頃には良く見られるとのこと。まずはムラサキミヤマツグミのテープを流したが、反応はなし。続いて、Green Cochoa(ミドリミヤマツグミ)のテープを流すと、こちらは遠くから声が聞こえた。残念ながら、一向に近づいてくる気配はなく、結局見られなかった。

 道路沿いの枯れ木にはVerditer Flycatcher(ロクショウヒタキ)が止まっているが、写真を撮るにはかなり遠い。反対側の道路沿いの高木に何か止まったので双眼鏡を向けてみると、オレンジ色の腹が目立つ。サンショウクイの仲間かと思ったが、どうやら違うらしい。Somchartは「Chestnut-bellied Rock Thrush(カオグロイソヒヨドリ)ではないかと言ったが、雰囲気が違うように思われる。50m以上の高木のてっぺんなので、双眼鏡では識別できず、無理やり写真を撮って、拡大して見ると、どうもNiltavaの仲間らしい。識別点の喉が見えたので、ようやくVivid Niltava(チャバラオオルリ:写真左)と分かった。遠いのが残念だが、初めて見る鳥だ。Somchartもドイ・インタノンで見たのは初めてだという。

 その後、標高を上げ、寺院のそばでMountain Bamboo Partridge(ウンナンコジュケイ)を探すが、見つからない。Grey Bushchat(ヤマザキヒタキ)、Buff-barred Warbler(アカバネムシクイ:写真右下)、Green-tailed Sunbird(ミドリオタイヨウチョウ)などが出現。
 
 さらに、山頂で車を止め、Rufous-throated Partridge(ノドアカミヤマテッケイ)を探すが、こちらも出現せず。山頂部のトレイルを歩いて、Pygmy Wren-Babbler(タカサゴミソサザイ)、Yellow-bellied Flowerpecker(キバラハナドリ)、Ashy-throated Warbler(キゴシムシクイ)、White-browed Shortwing(コバネヒタキ)などを確認。Yellow-bellied Flowerpeckerは前回訪問時に見たのがメスで、今回はオスを見ることができた。ハナドリの仲間は普通は樹冠部で慌ただしく昆虫や花の蜜を探し回っているが、この種は枝先に止まって、飛んでくる昆虫をめがけて捕虫する行動をよく行い、まるでヒタキのようだ。白いDendrbiumの花が至るところで咲き、白や深紅のシャクナゲが咲く湿地では、薄暗い藪の中でヤマシギを見かけることができた。ツグミの仲間はマミチャジナイらしきものがよく飛び回っているが、じっくり姿を見ることができない。藪の中から、「クルルルルッ」という、ヒタキ類特有の声が聞こえる。1羽ではなく、どうやら、2,3羽いるようだが、なかなか姿を見せてくれない。SomchartはSlaty-backed Flycatcher(セオアビタキ)だというが、一向に見つからない。ようやく、葉影から姿を見せた1羽の腹が見えた。確かに、オレンジ色をしている、と思ったら、すぐに飛んでしまった。前回も感じたが、ドイ・インタノンの探鳥はこんな消化不足気味のことが多い。

 なかなか姿を見せてくれなかったセアオビタキ(写真左)だが、山頂から少し降りたところで、道路際に出てきたオスとメスを観察することができた。上面は顔まですっぽりと濃いスレート色で、目の上の部分に少し淡色の斑がある。喉から腹にかけては明るいオレンジ色で、尾羽の基部には白い斑がある。図鑑の印象からは、ヒメアオヒタキの仲間に近い鳥のようだったが、実際にはムギマキのオスの若い個体に似ている。とにかく、じっとしていない鳥で、絶えず動き回っていて、ピントを合せている間に飛んでしまうため、記録写真程度の数カットを撮るのがやっとだった。

 昼前にもう一度チェックポイント2へ戻り、再度ミヤマツグミの仲間に挑戦。11時を回り、時間も良くないせいか、全く反応がない。森の中のトレイルですれ違ったフランス人のバードウォッチャーは早朝からこのトレイルで時間を費やしていたそうだが、Black-breasted Thrush(ムナグロアカハラ)やRed-headed Trogon(ズアカキヌバネドリ)を見ることができたそうだ。ここも空振りに終わり、道路沿いに戻ってくると、アメリカ人の某氏は疲れたから言って、先に山を下りたとドライバー君が教えてくれた。

 ここまでの成果はいまいちだったが、ガイドのSomchartはなかなか優秀なガイドのようで、目が速く、藪の中の小鳥もよく見つける。ただ、ポイントを的確に教えるのがあまり上手ではなく、ポインターが故障していたこともあって、こちらが双眼鏡に入れる前にいなくなってしまうことが度々あった。

 昼前最後のポイントは松林の中のGrey-headed Parrotbill(ハイガシラダルマエナガ)の生息地。テープを流して、反応を待つが、縄張り意識の強いHill Prinia(ノドグロハウチワドリ)が反応し、Grey-capped Woodpecker(ハイガシラコゲラ)やBar-winged Flycatcher-shrike(ヒタキサンショウクイ)らが時々姿を現したくらいでぱっとしない。場所を変えようと、立ち上がったところ、Somchartの後ろから、茶色いツグミほどの大きさの鳥がバタバタと飛び、松林に消えた。Somchartの後ろ、わずか1.5mの高さにHodgson’s Frogmouth(メスボシガマグチヨタカ)の巣(写真右)があり、卵が一つあった。Somchartは、「初めて巣を見つけた」と興奮していたが、肝心の親鳥は見つからない。一旦その場を離れ、しばらく時間をつぶしてから戻ろうということで、Somchartと意見が一致し、車を止めた広場まで戻る。Banded Bay Cuckoo(クリイロヒメカッコウ)の声が聞こえたので、しばらく探したが、見つからない。一方、ガマグチヨタカの方も1時間ほどして戻ってみたものの、姿はなかった。

 盛り上がりに欠けるまま、Mr. Daeng’s Cafeで昼食を取る。ここはDark-sided Thrush(コオオハシツグミ:写真左)がやってくるので有名なのだそうだが、昼食を食べているとすぐにテラスの下に姿を現した。嘴は太くがっしりとしている上に長く、一方尾羽は通常のツグミ類の半分以下と短いため、かなり違和感のあるプロポーションだ。倒木の脇のぬかるみを盛んにほじくって、ミミズなどを探しているらしい。大きめのBlue Whistling Thrush(オオルリチョウ)がやってくると場所を譲る以外は、時間近くの間、わずか1mの範囲で餌を取り、休息していた。同じ場所でLesser Shortwing(ヒメコバネヒタキ)やAsian Stubtail(ヤブサメ)も姿を見せた。

 昼食後、今度はBlack-throated Parrotbill(キバネダルマエナガ)のポイントへ。ようやく、今日初めてのbird waveに出会い、Golden Babbler(キガシラモリチメドリ)などが出現するが、相変わらず鳥が見づらく、Long-tailed Broadbill(オナガヒロハシ), White-browed Scimitar-Babbler(マミジロマルハシ)などが出たものの、見逃した。肝心のキバネダルマエナガはSomchartが最初見つけ、ササやぶの中を忙しく動き回る数羽の鳥をようやく双眼鏡の中に収めることができた。声は細くて目立たない上、非常に小さくて忙しく動き回るため、観察の難しい種だ。

 3時を回り、日が傾いてきたが、続いてBlack-tailed Crake(オグロクイナ:写真右)のポイントへ。ブータンで昨年11月に何回も挑戦して外した鳥だったが、行ってあっさりと開けた草地に出てきた。クイナの仲間は概して警戒心が強いものだが、この鳥はずいぶん人になれているのか、おかげで、2羽の親鳥が雛に餌を与えるところをゆっくり観察できた。

 雲行きは怪しくなってきたが、次はBlue-throated Flycatcher(ムネアカヒメアオヒタキ:写真左下)のいるというお寺へ。急こう配を登り、お寺の裏の林でテープを流すと、すぐに反応する声があり、明るいところにオスが出てきた。ムネアカヒメアオヒタキ自体は以前に見たことがあるが、薄暗い環境を好む鳥だけに、明るい場所でじっくり見られると満足感が高い。

 雨が降り始めたので、あわてて車に戻り、次はWhite-rumped Falcon(アジアコビトハヤブサ)とBlack-headed Woodpecker(コシアカアオゲラ)に挑戦。乾燥した林でどちらも見られるというが、この日はあいにく反応はなし。

 最後にBlossom-headed Parakeet(バライロコセイインコ)のねぐらに行く予定だったが、日没時間切れでチェンマイに戻ることになった。

 チェンマイ市内に戻る前に屋台に立ち寄り、北部独特の辛めの料理が本日の夕食。白菜やいんげんを生でつまみながら、ひき肉やレバーをベースにした料理は味は良いが、とにかく辛い!少し辛さを抑えてもらったものの、口の中が火事の状態だった。Somchartたちはさすがに食べ慣れているらしく、生野菜を箸休めに、辛い料理をもち米の上に乗せてよく食べる。グレービー状の料理といい、生野菜を食べることといい、タイ料理よりも、マレーシアやジャワの島の料理に共通点を見たように感じた。

 食事の後、翌日のスケジュールを確認し、夜9時前にホテルに戻った。

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